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東日本大震災8年 あの日までの記憶つなぐ

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 発泡スチロール製の家には、住民の名前や出来事を書いた旗が立つ。東日本大震災で津波にのみこまれた仙台市若林区荒浜にある模型。8年前の3月11日まで確かにそこにあった、かけがえのない暮らしや思い出を静かに物語る。

 街の模型は、神戸大大学院工学研究科の槻橋(つきはし)修准教授らが東北の被災地で製作してきた。航空写真や住宅地図などから500分の1の縮尺で再現し、被災者からの聞き取りで「記憶の旗」を立てる。

 荒浜では5年前、9日間にわたって590人の元住民たちが協力した。完成した「街」を見て涙を流して喜ぶ人もいたという。槻橋研究室の磯村和樹さん(29)は「もう見られない古里の姿を思い出すことが、心の復興の一助になれば」と意義を語る。

 同じ願いを込めて、石巻専修大(宮城県石巻市)が作った模型が、同市南浜・門脇地区の震災伝承施設「南浜つなぐ館」にある。

 津波で長男信也さん=当時(36)=を亡くした阿部信(まこと)さん(70)が模型の前に立っていた。「漁船さ乗ってたから、町での思い出は多くないけど」。そう話しながら、平成の初めに同市の網地島から南浜地区に移り住んだこと、孫の幼稚園の運動会で組み体操を見た時の感動、盆踊りで綿菓子を買って童心に帰ったことを懐かしむ。

 あの日、孫は幼稚園バスが高台にいて助かったが、その孫の身を案じて自宅に向かった信也さんは津波にさらわれた。今、孫は離れて暮らし、長くその顔を見ていない。

 「話すと気が楽になるから」と、語り部活動を続ける理由を教えてくれた阿部さん。「とにかく逃げること」と、震災の教訓を入館者に伝えるその姿は、「あの日」までの温かな記憶によって支えられている。(映像写真部 吉田敦史)

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