医療

長寿の作法
医療や福祉現場で活躍する人々が、健康寿命を延ばす工夫を紹介します。
  • 印刷
メリー・バレイユさん
拡大
メリー・バレイユさん
薬局には数百品目以上の薬剤が並び、薬剤師が相談に応じている=神戸市内
拡大
薬局には数百品目以上の薬剤が並び、薬剤師が相談に応じている=神戸市内

 薬は適切に使えば、病気を治し、命の危機を乗り越える大きな助けにもなります。病院の医師としてでなく、薬でさまざまな病気の患者を救う製薬会社のメディカルドクター(MD)として30年余り、抗がん剤や消炎鎮痛剤、抗生剤などの医薬品開発に携わってきました。

 薬ができるまでには何年もかかります。成分の効果を証明するだけではなく、体に悪い影響を与えないかを明らかにするため、さまざまな研究、試験を重ねます。動物実験の後、大学病院などの医療機関の協力を得て、発売前の新薬と、その薬の成分を含まない偽薬とを使う人を分けて、その効果を検証するなどの「治験」を繰り返します。

 発売後も、病院などで使われる薬の効果や安全性を確認する調査を行います。治験で分からなかった副作用も把握し、国や病院などに伝えます。悪影響だけでなく、血管拡張剤に育毛効果が確認されるなど、想定外の効能が追加されたこともあります。

 30年ほど前のことですが、海外から薬を導入するために厚生省(当時)に相談すると、動物実験からやり直すように言われたことがありました。海外で大きな効果が出ている薬が、日本ではなかなか使えるようにならない「ドラッグラグ」の最たるものでした。最近は、外国と共同で治験を行うようにもなり、そうした時間差は解消されてきているようです。

 今、使われている抗がん剤でも、がんを小さくする効果がある半面、吐き気や頭髪が抜けるといった副作用があります。治験では、こうした薬の良い面、悪い面を明らかにします。その上で、厚生労働省が120パーセント安全だと判断したものだけが、薬として流通しています。

 薬によって病気やけがが治り、元気に過ごせるようになった人は数多くいます。しかし、菌を殺す抗生剤を使いすぎると、耐性菌を生み出し、薬が効かなくなるなど、薬の使い方には注意が必要です。

 医者にかからず、薬も飲まずに風邪が治るのは免疫のおかげです。薬に頼りすぎると免疫も身に付かず、低下もします。少し体調がおかしい程度ならば、まずは薬局で薬剤師に相談して市販薬を使う。2、3日しても効果がなかったり、いつもよりしんどいなと感じたりしたら医師にかかる。普段の自分を知ってくれているかかりつけ医を持っておくことが大切です。(聞き手・山路 進、協力・兵庫県予防医学協会)

【メリー・バレイユ】1933年、横浜市生まれ。慶応義塾大医学部卒。米国の病院、神戸万国病院(現神戸海星病院)医師を経て、65年以降、スイスの製薬会社チバ(現ノバルティスファーマ)などで創薬に携わる。神戸市中央区在住。

バレイユさんが勧める三つの作法

一、日頃の自分を知ってもらえるかかりつけ医を持つ

一、薬を使い過ぎずに免疫の力を保つ

一、薬局の薬剤師にも相談し、市販薬も活用する

メディカルドクター(MD)

 製薬会社で働く医師。診療経験を生かし、新薬の開発や厚生労働省との協議、市販後の調査などを担当する。国内では外資系企業を中心に広がった。人数をまとめたデータはないが、国内には数百人以上いるといわれている。

長寿の作法の新着写真
長寿の作法の最新
もっと見る

天気(7月13日)

  • 24℃
  • 21℃
  • 70%

  • 23℃
  • 19℃
  • 70%

  • 24℃
  • 22℃
  • 70%

  • 22℃
  • 20℃
  • 80%

お知らせ