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長寿の作法
医療や福祉現場で活躍する人々が、健康寿命を延ばす工夫を紹介します。
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宇佐美眞さん
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 介護を必要とせず、天寿をまっとうするのが「健康長寿」です。しかし、現状では平均で男性9年、女性13年の介護期間があるため、その期間を短縮して「健康寿命を延伸」することが重要です。介護が必要となる要因は認知症や衰弱、骨折・転倒などの「老年症候群」が5割、脳卒中や糖尿病などの「生活習慣病」が3割を占めています。そこで注目されているのが、食による健康寿命の延伸です。

 高齢者の食事に関する報告では、30年以上前に比べて総エネルギーや肉類、野菜類の摂取が減少し、体重が減っています。これは、生活習慣病予防のため「肉と脂肪を減らし、肥満を避ける」という考え方が浸透し、高齢者でも継続されているためと考えられます。40、50代なら良いのですが、健康寿命を延伸させるためには、65歳を超えたら〝ギア・チェンジ〟を行い、適切な栄養を十分に摂取することが良いとされます。

 高齢になると、筋肉量と筋力が低下する「サルコペニア筋肉減少症」という状態になりやすく、それが虚弱を引き起こし、転倒や骨折の「老年症候群」につながります。食べ物がのみ込みにくくなる嚥下(えんげ)障害も、口の筋肉減少が関係します。対策としては、肉や魚の動物性タンパク質の摂取量を増やし、運動を行うことに加え、各種の脂肪、牛乳・乳製品、食物繊維、ビタミンやミネラルなどを十分に摂取することも有効です。

 1日に食べる品目数は「3食で30品目」が目安とされ、食品摂取が多様であるほど「知的能動性」や「社会的役割」が低下しにくいことが分かっています。また、納豆や高野豆腐、玄米やアーモンドなどに含まれるマグネシウムを多く取る人は糖尿病の発症率が低く、大豆製品や野菜、海藻類、乳・酪農製品をよく食べる人は認知症の発症率が低下します。

 お勧めしたいのが、糖尿病や心血管病、大腸がんのリスクを下げ、便通も整える未精製の「全粒穀物」です。市販されているものとしては、カラス麦・麦芽フレークからなるミューズリーやグラノーラ、五穀米や玄米、全粒穀物のクッキーなどがあります。

 適度な運動も大切です。ウオーキングや通勤、掃除、買い物などで毎日体を動かしていると思いますが、まずは今より10分多く体を動かすこと、「プラステン」から始めてみませんか。(聞き手・田中陽一、協力・兵庫県予防医学協会)

【うさみ・まこと】1950年、岐阜市生まれ。神戸大大学院医学研究科博士課程修了。同大の附属病院栄養管理部長、保健学研究科教授などを歴任し、2017年から現職。18年4月開設(設置認可申請中)を目指す甲南女子大医療栄養学部の学部長に就任予定。

宇佐美さんが勧める三つの作法

一、魚と肉の摂取量を1対1にして十分に食べる

一、動物油、植物油を適度に使い、多様な食材を楽しむ

一、仲間と会食の機会を増やし、欠食は絶対に避ける

高齢者の食事バランスガイド(1日当たり)

 主食はご飯なら普通盛り3杯程度。主菜は肉、魚、卵、大豆料理から3皿程度、副菜は野菜料理5皿(350グラム)が目安。牛乳・乳製品と果物も適度に。牛乳なら1本、みかんなら2個程度が望ましい。

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