医療

長寿の作法
医療や福祉現場で活躍する人々が、健康寿命を延ばす工夫を紹介します。
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下之園俊隆さん
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下之園俊隆さん
ふくらはぎなどの動きを患者(左)に意識してもらいながら、認知神経リハビリを行う理学療法士=西宮市六湛寺町、県立西宮病院
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ふくらはぎなどの動きを患者(左)に意識してもらいながら、認知神経リハビリを行う理学療法士=西宮市六湛寺町、県立西宮病院

 加齢とともに筋肉や骨などは弱まります。中でも、骨密度は男女とも20代がピークで、50歳ごろから減り始めます。男性は70代、女性は50代から、転んだだけでも骨折するほどに骨が弱る骨粗しょう症のリスクが高まります。

 骨量の増加には、カルシウムとビタミンDが有効です。カルシウムを含む魚の骨や牛乳などを口にして、体内でビタミンDを作ってくれる紫外線を浴びるために出掛けることが大切です。体を動かし、骨を刺激すれば骨密度は増えます。そのためには筋力が必要です。筋肉になる肉などのタンパク質も食べましょう。

 その上で、筋肉や骨、関節などに問題が生じ、立ったり歩いたりしづらくなるロコモティブシンドローム(運動器症候群)を予防するトレーニング「ロコトレ」に取り組みましょう。

 片足を5センチほど上げて1分間、バランスを保ちます。ふらつくようならば、机に手や指を置いても構いません。左右1回ずつ、朝昼晩に行います。1分間の片足立ちの運動量は、53分間の歩行に相当するというデータもあります。

 もう一つはスクワットです。椅子やソファの前で足を肩幅に開き、爪先を軽く外側に向けて立ちます。息を吐きながらお尻は椅子などに付けず、膝が直角にならない程度にまで曲げた後、息を吸いながら立ち上がります。これをゆっくりと5、6回、1日3回行います。

 このトレーニングを行う際、体の動きなどを意識することで、さらにバランス能力を高められます。脳卒中や交通事故などで大けがをした後の機能回復訓練の一つ、認知神経リハビリテーションにヒントを得た方法です。

 片足立ちをする時には膝をしっかり伸ばし、体がふらつかないように注意するのではないでしょうか。この時、重心がどこにあるのかを考えてみます。足の裏のどこに、どれほどの重さがかかっているかも感じます。足を上げるタイミングを変えるのもいいでしょう。スクワットでも、体のさまざまな場所を意識するように心掛けます。

 頭の中で考えることで、運動が記憶されます。片足立ちやスクワットをする度に、体のさまざまな部位の動きを学習し、どんどん上手にできるようになるはずです。

 年齢とともに身体機能は衰え、持ち上げられた荷物は重く、ちょっとした段差でもつまずくようになります。体中を意識したロコトレで、体のバランスを保ち、健康寿命を延ばしましょう。(聞き手・山路 進、協力・兵庫県予防医学協会)

【しものその・としたか】1961年伊丹市生まれ。高知医療学院理学療法学科卒。兵庫県立塚口病院(現県立尼崎総合医療センター)を経て、2000年から県立西宮病院。11年から現職。認知神経リハビリテーション学会員。同市在住。

下之園さんが勧める三つの作法

一、骨や筋肉になるタンパク質やカルシウムを摂取する

一、ロコトレやラジオ体操など自分にあった運動をする

一、体を動かす時に、関わる部位を意識する

認知神経リハビリテーション

 イタリアの神経科医らが考案した機能回復訓練法。単に運動を繰り返すのでなく、触覚などの知覚、注意、記憶、判断、言語といった脳の認知機能を活性化させながら運動機能回復を目指す。日本では2000年前後から広まった。

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