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長寿の作法
医療や福祉現場で活躍する人々が、健康寿命を延ばす工夫を紹介します。
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大澤和弘さん
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 二足歩行の人間にとって、宿命とも言えるのが「いぼ痔(じ)(痔核(じかく))」です。

 いぼ痔はお尻の血流が悪くなり、うっ血した部分がこぶ状になる病気です。ヒトのお尻は四足歩行の動物と違って心臓より下にあるため、うっ血を起こしやすいのです。

 ほかにも痔には「きれ痔(裂肛(れっこう))」や「痔瘻(じろう)」がありますが、最も多いのが5割超を占めるいぼ痔で、こぶの場所によって「内痔核(じかく)」と「外痔核」に分かれます。

 お尻の内部には「歯状線(しじょうせん)」と呼ばれる部分があり、線より上が直腸、下が肛門です。周囲には毛細血管が網目状に広がっており、ここがうっ血して直腸側にこぶができた場合を内痔核、肛門側の場合を外痔核と言います。

 要因は主に便秘や下痢です。長くきばるとそれだけ圧力がかかり、うっ血します。トイレで新聞や携帯電話を見ながら30分も40分もきばったり、「仕事があるから」と無理に出そうとしたりする人がいますが、避けるべきです。便意を感じたときに、さっと排便してください。

 いぼ痔で出血すると排便が嫌になり、食事を減らしたり、偏食気味になったりして、さらに便秘が進むという悪循環に陥ります。長寿の基本は快食、快便、さらには毎日使うお尻の病気について、基本的な知識と予防法を知ることです。

 便秘などの解消にはまず、生活習慣の改善が大切です。朝食はしっかり食べる。水分、食物繊維、発酵食品、油をバランスよく取る。体を動かし、便意を逃さない。初期のいぼ痔の場合、薬で炎症を抑えながら、生活習慣を見直すことで対応できます。排便の改善は、硬い便が出ることで肛門が裂ける「きれ痔」の予防にも効果的です。

 「お尻からの出血=痔」と安易に考えるのも禁物です。実はがんだったというケースもあるので、医療機関を受診しましょう。細菌感染が原因で肛門や直腸の周辺に膿(うみ)がたまり、皮膚の外に流れ出す痔瘻も、わずかですが、がんに進行する場合があります。

 もう一つ覚えておいてほしいのが、温水洗浄便座の正しい使い方です。強い水圧で洗うと皮膚の脂や良い働きをする菌まで飛ばしてしまい、乾燥でかゆみが出たり、ただれたりするほか、感染リスクも高まります。かん腸代わりに使うのも間違い。刺激がなければ、便が出なくなります。(聞き手・田中陽一、協力・兵庫県予防医学協会)

【おおさわ・かずひろ】1946年、兵庫県福崎町出身。神戸大医学部卒。県立尼崎病院、神鋼病院勤務を経て81年に開業。日本外科学会および日本大腸肛門病学会の専門医、指導医も務める。神戸市垂水区在住。

大澤さんが勧める三つの作法

 一、食事などの生活習慣を改善し、規則正しい排便を

 一、「出血=痔」と思い込み、放置するのは禁物

 一、温水洗浄便座は正しく使う

温水洗浄便座の正しい使用法

 まずはお尻を紙で拭く。汚れが取れなかったら弱い水圧で流し、軽く押すように拭き取る。長時間の使用は避ける。不特定多数が使う便所では、ノズル部分の菌が完全に消毒されず、別の病気に感染する恐れもある。

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