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長寿の作法
医療や福祉現場で活躍する人々が、健康寿命を延ばす工夫を紹介します。
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山本泰司さん
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山本泰司さん
最新の画像検査で見たアルツハイマー型認知症とみられる人の脳。アミロイドβが赤で示されている=神戸市中央区楠町7、神戸大医学部
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最新の画像検査で見たアルツハイマー型認知症とみられる人の脳。アミロイドβが赤で示されている=神戸市中央区楠町7、神戸大医学部

 アルツハイマー型認知症は、国内の認知症患者のうち過半数を占めます。しかし、かつては診断されても治療薬がありませんでした。15年ほど前にやっと塩酸ドネペジル(商品名アリセプト)という薬が出て、今は専門的な画像検査も進んでいます。

 現在、薬は4種類に増えていますが、いずれも脳の神経の一部だけに効く第1世代です。もっと効果の高い薬を開発しようと、私を含めて世界中で研究を進めています。

 仕事を引退した後、家でテレビばかり見て日常生活動作(ADL)が落ちると、老化と連鎖して認知機能も落ちるので注意が必要です。今のところ、これだけやれば認知症の進行や発症を止められるという方法は見つかっていません。ですが、大人向けのドリルなど頭の運動とともに体の運動も大切です。少し速足のウオーキングなどを、1週間に30分程度、3回ほどするといいでしょう。

 頭を使って体も動かすと脳が刺激されます。ですから、グラウンドゴルフなど順位や勝ち負けがつくスポーツなどもお勧めです。75歳前後でも、若い頃に始めた卓球やテニスを、スコアをつけて楽しんでいる方は多くいます。何となくやるよりは、自分の意思で積極的に取り組むことが大事です。そうすれば自然とペースができ、継続にもつながるでしょう。

 食事もバランスが悪いと、脳が栄養を吸収しにくくなるため認知機能の低下につながります。緑黄色野菜や魚をしっかり食べて、肉は食べ過ぎないようにしましょう。アルコールは、増えれば増えるほど認知症のリスクが高まることが報告されています。

 軽度認知障害(MCI)も最近知られるようになりました。そのうち1割~2割弱は軽度のまま止まるのですが、8割ほどの人にとっては認知症の前段階です。

 そこであきらめるのではなく、グレーゾーンであることを意識し、自分自身でできることをするべきです。薬は使わず、定期的な診察を年2回程度続けて、精密検査で脳血流や記憶、集中力などを調べます。

 生活の中で、もしかして認知症では、と気になることがあれば早めに受診しましょう。かかりつけ医と相談し、必要であれば専門医にしっかり診てもらってください。念のためでもいいので、がん検診と同じくらいに考えて、受けてみてはいかがですか。(聞き手・森 信弘、協力・兵庫県予防医学協会)

【やまもと・やすじ】1965年、姫路市生まれ。山口大医学部卒。2000年から神戸大病院で認知症の研究を続け、先端医療センター病院の客員研究員も務める。16年4月から現職。神戸市灘区在住。

山本さんが勧める三つの作法

一、自分の意思でスポーツを楽しむ

一、食事は魚と緑黄色野菜をしっかり取りバランスよく

一、おかしいと気になればかかりつけ医にまず相談を

アルツハイマー型認知症

 異常なタンパク質「アミロイドβ(ベータ)」が脳に10~20年間沈着して神経細胞を死なせ、脳が萎縮して発症する。軽い物忘れから始まり、数年以上かかって身の回りのできないことが増えていく。

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