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長寿の作法
医療や福祉現場で活躍する人々が、健康寿命を延ばす工夫を紹介します。
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賀来正俊さん
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賀来正俊さん
約2万人が挑んだ今年の神戸マラソン。完走できる体をつくることで健康長寿も期待できる=11月20日、神戸市内
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約2万人が挑んだ今年の神戸マラソン。完走できる体をつくることで健康長寿も期待できる=11月20日、神戸市内

 フルマラソンを走った後、スタートしたときと同じ体の状態でゴールする人は誰もいません。場合によっては、心筋梗塞や心房細動などで命を落とす危険もあります。マラソンとは、それほどまでに過酷な競技なのです。

 健康長寿を目指してマラソンに挑戦する人もいると思いますが、まずは42・195キロを走り切るだけの体をつくり、さらに医学的な準備をして臨むのが重要です。

 普段、運動をしていない人は少なくとも3カ月は練習し、心肺機能と持久力を鍛えましょう。太り気味で体格指数(BMI)が25以上の人は体重を落とします。心臓に不安のある人は、コンピューター断層撮影(CT)で検査し、心臓の冠動脈の状態を調べておくことをお勧めします。

 3カ月(12週)で出場するための練習例を示しましょう。最初は速めのウオーキングから始め、2週目以降、5~10キロのジョギングを取り入れます。急に距離を延ばすのではなく、まずは10キロをしっかりと走れるように。20キロに延ばすのは7週目辺りです。

 そして本番までに必ず、ハーフ以上の距離を走ります。9週目辺りに30キロを取り入れ、その後はやや練習量を抑えて本番に備えましょう。

 走り切るエネルギーをつくり続けられる状態にしておく準備も必要です。

 エネルギー源の補充としてレース中、5キロおきに甘いものを取ります。固形物は避け、食べ過ぎも禁物。バナナ、チョコレート、あめなど自分に適したものを練習段階で探しておきましょう。

 けれど、それだけでは不十分です。20~25キロ辺りで突然、筋肉が動かなくなる「エンストポイント」が訪れます。エネルギー源が足りていても、ビタミンB、Cが欠乏し、エネルギーをつくれなくなるのです。

 スペシャルドリンクを用意できないランナーは当日朝、ビタミン類の豊富な食事を取り、さらにスタート直前に総合ビタミン剤を飲んでおきます。さらに2時間を超えると、1時間おきにビタミンB、Cを含む錠剤で補給します。

 また、寒い時期のレースは低体温症を招く危険があるので、備えが大切です。

 マラソンに向けた適切な練習と生活は、心肺、消化器、生体防御などの機能を高めます。脳や精神にも良く、完走後には達成感や満足感も味わえます。まさに「一石十鳥」くらいの効果があります。(聞き手・武藤邦生)

【かく・まさとし】1951年、大分県豊後高田市生まれ。85年、大阪市立大大学院修了。賀来医院(神戸市東灘区)院長、神戸大医学部総合内科臨床教授。日本オリンピック・アカデミー正会員。著書に「みんなのマラソン医学」(ヒッツTEL078・595・7192)など。

賀来さんが勧める三つの作法

一、3カ月前からの準備でマラソンの体をつくる

一、ビタミン補給でエンストポイントを回避

一、適切に取り組めば、効果は「一石十鳥」

県内の市民マラソン

 マラソンブームを背景に、市民マラソンが増加。11月20日に開かれた第6回神戸マラソンには約2万人が出場。来年37回を迎える篠山ABCマラソンや2015年に始まった世界遺産姫路城マラソン、加古川マラソンなどがある。

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