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長寿の作法
医療や福祉現場で活躍する人々が、健康寿命を延ばす工夫を紹介します。
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小川渉さん
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小川渉さん
理学療法士の指導で、太ももの筋肉を鍛える糖尿病の入院患者ら=神戸大学病院
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理学療法士の指導で、太ももの筋肉を鍛える糖尿病の入院患者ら=神戸大学病院

 糖尿病は、健康長寿に悪影響を与えるさまざまな病気に関わります。まず、特有の合併症として糖尿病性の網膜症、腎症、神経障害があります。さらに糖尿病でリスクが高まる疾患として、脳卒中や心筋梗塞なども挙げられます。

 最近、新たに二つの病気との関わりが注目されています。一つは認知症で、糖尿病がリスクを高めるというデータが蓄積されてきました。がんとの関連を示すさまざまな論文も発表されています。がん全体の発症率は、糖尿病があると男性で3割、女性で2割ほど増えることが分かっています。ほかに、筋肉の量と質が低下するサルコペニアにも関連があるとされています。

 糖尿病は、体内のブドウ糖を細胞に取り込むインスリンの働きの低下や分泌不足で、血糖値が高くなる病気です。大半を占める2型は、生活習慣が発症に強く関係します。もともとなりやすい体質の人でも、生活習慣を改善すれば予防できるのです。

 網膜症、腎症、神経障害といった2型糖尿病の合併症も、理論的には100%阻止できます。糖尿病を発症しても、血糖値を下げる治療を早期に行えば合併症は防げます。これは大変重要なことです。

 糖尿病の予防法として、科学的に有効性が最も証明されているのは運動を中心とした生活習慣の改善です。運動をして生活習慣を改善すれば、予防薬より効果が高いという結果も出ています。スポーツだけでなく、日常生活の運動量を増やすことも有効です。体重を減らすだけでなく、糖質を消費する筋肉の能力を高める効果があります。

 インスリンの働きを悪くする原因として肥満がありますが、日本人は欧米と違って小太り程度でも糖尿病になります。肥満関連の疾患に対する感受性が、日本人は高いのではないかと考えられています。全く太っていなくてもかかるので、やせていても生活習慣に注意する必要があります。

 日本人の糖尿病患者は、ここ50年くらいで30倍ほどに増えています。その間に最も変化したのは動物性脂肪の摂取量増加です。やはり緑黄色野菜などを取り入れたバランスの良い食事を取り、体重が一定以上増えないようにすることが重要です。

 糖尿病のリスクは、がんのリスクにもつながります。糖尿病の予防は、がんを予防する上でも重要といえるでしょう。(聞き手・森 信弘、協力・兵庫県予防医学協会)

【おがわ・わたる】1959年、京都市生まれ。神戸大医学部卒。同大学院博士課程修了。同大学病院糖尿病・内分泌内科診療科長などを経て、2014年から現職。糖尿病の臨床や研究に取り組む。

小川さんが勧める三つの作法

一、スポーツに限らず日常生活での運動を習慣づける

一、食事はバランス良く、食べ過ぎない

一、やせていても生活習慣に気を付ける

インスリンの役割

 インスリンは、膵臓(すいぞう)から分泌されるホルモンで、血液中のブドウ糖の量を調節する。食事をして血液中のブドウ糖が増えると、筋肉や脂肪、肝臓などに取り込まれるが、作用が不十分だと血糖値が上昇する。

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