医療

長寿の作法
医療や福祉現場で活躍する人々が、健康寿命を延ばす工夫を紹介します。
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中村一郎さん 
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中村一郎さん 
手作りのパンフレットなどで骨盤底筋体操を説明する看護師=神戸市長田区一番町2、神戸市立医療センター西市民病院
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手作りのパンフレットなどで骨盤底筋体操を説明する看護師=神戸市長田区一番町2、神戸市立医療センター西市民病院

 高齢になると、尿のトラブルを抱える人が多くなります。尿漏れに悩む人もいますし、夜におしっこが近くなる「夜間頻尿(ひんにょう)」で困る人もいます。どちらも生活の質を下げる要因になります。

 これらのトラブルは「下部尿路症状」と総称されます。日本では60歳以上の78%にこの症状があるとされ、男性のみならず女性にも多い症状です。代表的な疾患の一つが「過活動ぼうこう」で、これが女性の場合、尿漏れや頻尿の原因になることが多いです。

 尿のトラブルと健康寿命の関係を示す明確なデータはないのですが、慢性の病気で通院する人の4人に1人に過活動ぼうこうの症状があるという調査結果があります。通院理由で多いのは高血圧や高脂血症などの生活習慣病ですが、これらは尿のトラブルと深く関わっている可能性があるのです。また、メタボリック症候群の傾向がある人には、夜間頻尿が多いというデータもあります。

 逆に、尿のトラブルをきっかけに泌尿器科などを受診して、生活習慣病の早期発見・治療につながるケースもあります。早期の受診は生活の質を高める上で有益です。

 夜に3回以上おしっこに行く人は、転倒や骨折が2倍以上になるというデータもあります。「たかが頻尿」と甘く見ないことが賢明です。

 尿漏れに悩む人は、骨盤の中にある骨盤底筋が衰えていることが多いです。症状の改善には、この筋肉を鍛える体操がお勧めです。ただし、骨粗しょう症で骨がもろくなっている人もいるので、無理せずゆっくり行いましょう。

 また男性では、ぼうこうの出口にある前立腺にがんができる人が急激に増えていますので注意が必要です。

 前立腺がんは一般的に進行が遅いとされていますので、過剰な検査は不要という考え方もあります。でも、私は血液中のPSAというタンパク質を調べる検査をぜひ受けてほしいと考えます。

 前立腺がんは早期発見できると、治療の選択肢が格段に広がります。ロボットを使って傷や出血が少なく手術できますし、放射線治療でも完治を目指せます。がんの進行が遅いのなら、PSA監視療法といって検査をしながら様子を見る方法もあります。

 男女とも泌尿器のトラブルは一人で悩みがちですが、恥ずかしがらず積極的に受診されることをお勧めします。(聞き手・田中伸明、協力・兵庫県予防医学協会)

【なかむら・いちろう】1960年小野市生まれ。神戸大医学部卒。兵庫県立がんセンター、西脇市民病院などを経て、2000年西市民病院へ。15年副院長。日本泌尿器科学会専門医・指導医。神戸市在住。

中村さんが勧める三つの作法

一、排尿のトラブルは、恥ずかしがらず早期受診

一、生活習慣を見直し、無理なく骨盤底筋体操を

一、男性はPSA検査で前立腺がんを早期発見

骨盤底筋体操

 足を肩幅に開いて立ち、手を机の上につく▽いすに座り、足の裏全面を床につける-などの姿勢で、肛門と膣(ちつ)を5秒間締める運動を繰り返す。3カ月以上続けて骨盤底筋を強化すれば、尿漏れ緩和に効果があるとされる。

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