医療

長寿の作法
医療や福祉現場で活躍する人々が、健康寿命を延ばす工夫を紹介します。
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中村竜也さん 
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中村竜也さん 
口の中から採取した細菌を培養し、種類などを確認する=神戸市中央区楠町7、神戸大病院
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口の中から採取した細菌を培養し、種類などを確認する=神戸市中央区楠町7、神戸大病院

 感染症のうち、高齢者が特に気を付けなければならないのは肺炎です。日本人の死因で、がん、心疾患に次いで3番目に多くなっています。肺炎で亡くなる人の96・9%を65歳以上が占め、肺炎の予防が健康長寿の一つの鍵といえます。

 年齢とともに、物を飲み込む力は弱まります。食事の時や寝ている間に、唾液が気道へ流れ込んでしまうようになります。これを「誤嚥(ごえん)」といいます。誤嚥により、口の中にいるさまざまな細菌が肺の中へ入り込みます。

 これらが肺の中で増殖し、炎症を起こした状態を「誤嚥性肺炎」といいます。細菌はゆっくりと増えていくので、初めのうちの症状は元気がなくなったり、微熱が出たりする程度ですが、気付かないまま重症化することが多いので注意が必要です。

 口の中には億単位の細菌がいます。日中は食事のたびに出る唾液や歯磨きによって殺菌されますが、夜間に寝ている間に増え続けます。食間に液体歯磨きや緑茶で口をゆすぐだけでも、細菌の増殖を抑える効果があります。

 肺炎には、誤嚥性のほかに「細菌性肺炎」もあります。原因となる代表的な細菌が「肺炎球菌」です。子どもの多くが持っているため、お孫さんと触れ合った際などに菌をもらい、抵抗力が弱まっていると発症することがあります。誤嚥性と同じく重症化する恐れがあります。65歳から5年ごとに、ワクチンの定期接種があります。対象年齢の人は接種を受け、予防につなげてください。

 治療には、いずれの肺炎も原因菌を殺す抗菌薬(抗生物質)を使います。医師は体内にいる原因菌を全て殺すために必要な量の薬を処方しています。症状が治まったように感じても、菌はまだ生き残っています。これらを放置すると体内で再び増殖を始め、症状が再発する恐れがあります。

 もっと怖いのは、菌が突然変異を起こし、薬が効かない「耐性菌」に姿を変えることです。これまでも耐性菌に対抗する新薬開発は続けられてきましたが、そのペースが追いつかなくなっています。今月末の主要国首脳会合(伊勢志摩サミット)でも話し合いのテーマになるほど世界的な問題です。

 自分自身を守るとともに、周りに迷惑を掛けないためにも、処方薬は全て飲みきるようにしてください。(聞き手・山路 進、協力・兵庫県予防医学協会)

【なかむら・たつや】1969年、三重県生まれ。92年から臨床検査技師として関西医科大病院などで勤務。2007年、感染制御認定臨床微生物検査技師に。13年、大阪大大学院保健学博士課程修了。15年から現職。大阪市在住。

中村さんが勧める三つの作法

一、毎朝と食後に歯磨きをして、口の中を殺菌する

一、肺炎球菌ワクチンの予防接種を受ける

一、処方された抗菌薬は期間を守り、全て服用する

高齢者の肺炎球菌ワクチン定期接種

 肺炎による死亡率が高い65歳以上を対象に、2014年10月から始まった。本年度の対象者は、今年4月2日~来年4月1日時点で65歳から5歳ごと100歳までの人だが、原則1回。各市町に助成制度があり、数千円程度までで受けられる。

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