東播

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おみくじを求める初詣客と向き合う鹿嶋神社婦人部の女性たち=高砂市阿弥陀町地徳
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おみくじを求める初詣客と向き合う鹿嶋神社婦人部の女性たち=高砂市阿弥陀町地徳
新年を祝う巫女の舞=高砂市阿弥陀町地徳
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新年を祝う巫女の舞=高砂市阿弥陀町地徳
大役を終えると、スマホで記念撮影=高砂市阿弥陀町地徳
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大役を終えると、スマホで記念撮影=高砂市阿弥陀町地徳
年が明け、じっと祈る初詣客=高砂市阿弥陀町地徳
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年が明け、じっと祈る初詣客=高砂市阿弥陀町地徳

 2020年を迎え、各地の神社が初詣客でにぎわった。兵庫県高砂市の鹿嶋神社は三が日で約11万人が参り、その数は播磨地域の神社でも指折り。同神社の慌ただしい元日を取材した。(小森有喜)

■大みそか

 19年も終わりに近づいた午後10時。周辺道路が規制され、神社駐車場は早くも満車。約300メートルの参道に並ぶ露店も、家族連れでにぎわう。

 「早い人は午後9時ごろから駐車場で待機してますわ」と、神社総代会長の山本俊郎さん(71)。夜通し押し寄せる初詣客に対応するため、1~5日は、神職や氏子ら60人ほどが、交代で仮眠を取る生活が続く。

■秒読み

 午後11時45分ごろ、本殿に神職らが集まり、1年の平穏に感謝する「除夜祭」が始まった。祝詞を読み上げ、祝い鯛や玉串を献上する。

 式が終わると、いよいよ年明けまであと1分。初詣客の誰からともなく「10、9、8…」とカウントダウンが始まった。「ゼロ」の声とともに、「一番太鼓」が鳴り響き、新年の到来を告げた。歓声とともに初詣客が鳴らす清らかな鈴の音が境内に響いた。

■午前0時

 新年を祝う歳旦祭が本殿で執り行われ、地元で生まれ育った高校、大学生が務める巫女が舞い始めた。

 神戸学院大1年村尾菜摘さん(19)は「巫女さんは小さい頃からあこがれやったんです」。初めて舞を披露する妹の美咲さん(17)=加古川西高2年=は「間違えないかな…」と緊張ぎみ。神社に集まったり、自宅で動画を見たりして練習を重ねてきた。

 4人の巫女は輪になったり、玉串をかざしたりして、約5分の舞を見事に披露した。控え室に戻ってくると、4人はスマートフォンで記念撮影。「うまくいったね」。現代っ子の笑みがこぼれた。

■午前1時半

 境内に肩を組んで「自撮り」する男性3人がいた。「40年前から一緒に来てるんですよ」と、会社員男性(54)=神戸市西区。地元の宝殿中学校の同級生で、高校受験の合格祈願に訪れて以来、年明け早々の深夜に参拝するのが恒例らしい。「出掛ける時、おふくろが『暗いから気をつけや』って。中学の頃と何も変わらんわ」と笑い合う。

■午前3時

 初詣客は途絶えず、おみくじを求めて列が延びる。鹿嶋神社婦人部の女性たちが向き合う。富士原幸子会長(74)は、地徳地区に嫁いで40年以上、正月は毎年この生活を送る。「大変なのはみんな一緒ですからね」。誇らしげな笑顔を見せた。

■午前5時

 鹿嶋神社といえば名物のかしわ餅。44年前、当時の皇太子さまに献上されたこともあるという。創業50年の「大吉」が開店し、ふくよかな香りが参道に漂う。店主の黒田佳代子さん(61)は「ここに来たらこれを食べないと、ってみんな喜んでくれるんです」。

■午前8時

 空もすっかり明るくなった。気持ち良い晴れ。初詣客が再び増えてきた。「大吉」「中吉」「小吉」…。おみくじを手に笑顔の花が咲く。「おみくじ掛け」はもう真っ白。

 一睡もしていない西谷真太郎宮司(54)が、境内を眺めながらほほ笑む。「遠方からもお越しいただいて本当にありがたい。伝統を受け継いでいきたいですね」

 平穏、平和、健康、長寿、合格、就職…。それぞれの祈りが途切れることはなかった。

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