但馬

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ショッピングタウンペア=養父市八鹿町八鹿
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ショッピングタウンペア=養父市八鹿町八鹿
1979年3月8日の開店日には長い列ができた(竣工記念アルバムより)
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1979年3月8日の開店日には長い列ができた(竣工記念アルバムより)
店内に設置された但馬初のエスカレーター(竣工記念アルバムより)
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店内に設置された但馬初のエスカレーター(竣工記念アルバムより)
雨漏りが激しい日にはカラフルなバケツが並ぶ
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雨漏りが激しい日にはカラフルなバケツが並ぶ
神戸新聞NEXT
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 「ペアまだやってる」-。開業41年を迎えた今年3月、記念セールの自虐的なキャッチコピーをインターネットの会員制交流サイト(SNS)で発信したのが、兵庫県養父市八鹿町八鹿の大型商業施設「ショッピングタウンペア」だ。地元の商店主が主導し、スーパーを核にした共同店舗。全国から注目され、モダンな色調でハイカラな建物は地元の自慢だった。空き店舗も目立つ中、何を「まだやってる」のか、訪ねてみた。(桑名良典)

 家電販売店「ぱわーず児島屋」を営む児島章さん(69)に竣工(しゅんこう)記念のアルバムを見せてもらった。開店前の長い行列、但馬初のエスカレーター、開店祝いの花…。色あせた写真から、当時の熱気が伝わる。

 真新しい31店舗が順につづられ、児島屋の店頭には「8型カラーテレビ特価78000円」の文字。児島さんは「ラジカセも爆発的に売れたなあ」と振り返る。「れすとらん やの」や美容室「ココ・タキヤマ」、ファストフード「ボン」など、現在は近隣で営業している店も。山下花店や化粧品「文化堂」など、全てを見終えて児島さんは「うちが最も様変わりしている。家電の進化はすごいね」と笑った。

 建物の北半分、かつて14店舗がテナントとして入居した「ショッピングセンター」側は現在、閉鎖されている。一方、住宅兼店舗の形態で17店舗でスタートした南側は「名店街」と呼ばれ、現在も営業を継続。別組織だったことが、その後の明暗を分けた。

 許可を得て、ほぼ廃虚と化した北側に入る。かつての組合事務所を発見。懐中電灯の明かりを頼りに探ると、開店前1年間の「商業団地推進委員会」の議事録が残されていた。

     ♯●♯

 かつて八鹿は、但馬有数の商業地だった。グンゼ八鹿工場があった中心市街地には九つの商店街があり、生活用品など何でもそろった。しかし大型の駐車場がなく、客足が減り始めた頃、起死回生の策として出たのが共同店舗だった。

 八鹿高校の農場実習跡地で、売り場面積約4500平方メートル、駐車場300台。飲食店や文具店、靴店などの出店希望が相次ぎ、推進委員会が調整した様子が議事録に見られる。最後まで議論したのは名称。「ポポロ」「ベルモール」「サンライフ」などが候補に挙がったが、「ショッピングセンターと名店街」「消費者と商店主」が結びつくようにとの思いを込めるとともに、客に「ペアで買い物を」とアピールする名前に決まった。

 1979年3月8日、開店日の様子を伝える新聞各紙から、当時の熱気が読み取れる。「商業の八鹿の核施設」「地元の商売人の心意気を示した」とたたえ、来店者の声を「都会に来たみたい。ウキウキした気分」と伝えている。初日は1万3千人が押し寄せたという。

 初年度は目標を約30億円と掲げた売り上げは順調に伸び、ピークの89年には約43億円。八鹿の核施設として大いににぎわった。

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 栄華は長く続かない。近隣市に大型店ができ、核店舗のスーパー「七味屋」が2001年に撤退すると、売り上げは右肩下がりに。その後に出店したスーパー「トヨダ」が13年に出ていくと、ショッピングセンター側の運営会社が自己破産した。核テナントの一つ、衣料品店「ハヤシ」も閉店。14年3月にはショッピングセンター側に残っていたテナントが撤退し、閉鎖された。

 眼鏡店を営む宮前徹志さん(66)は、ショッピングセンター側の組合で最後の理事長を務めた。「商品券の返金処理などで苦労した。それでもペアの35年間は楽しかった」と懐かしむ。

 残った南側の名店街も苦境にある。それでも、3年前には障害者アートを支援するNPO法人「がっせぇアート」が喫茶スペースとギャラリーを備えた活動拠点「オンサルデ」をオープンし、2階には障害者が活動するアトリエを構える。昨年からは、ジュース専門店「だんだん」や、相続などの資産アドバイスを行う個人事務所、古着店など、新たな世代の店舗入居が相次いだ。

 開業当初から生花店を営む山下澄代さん(71)は「間もなく孫たちの世代になる。障害者も高齢者も子育て世代も、いろいろな人が集まる場所になれば」と期待する。建物の老朽化で雨漏りも目立つが、「まだまだやってる」のである。

【ショッピングタウンペア】1979年3月、総工費約15億円でオープン。地元の商店主が主導し、スーパーなどを核にした共同店舗として注目された。出店したのはJR八鹿駅から八鹿高校までの街道沿いで営業していた商店主。紳士服や婦人服、クリーニング、喫茶、レコード、玩具、靴、寝具、食肉店などの専門店が並んだ。その後、1997年には豊岡市に「アイティ」が、2000年には朝来市に「イオン和田山」がオープンし、売り上げを落とした。八鹿高校の前に立地し、バスなどを待つ生徒が施設内のテーブルで勉強する姿も見られる。

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