但馬

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幻の酒米「但馬強力」の復活に向けて協力する農家の寺田正文さん(左)と、此の友酒造杜氏の勝原誠さん=豊岡市出石町宮内
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幻の酒米「但馬強力」の復活に向けて協力する農家の寺田正文さん(左)と、此の友酒造杜氏の勝原誠さん=豊岡市出石町宮内

 但馬生まれの酒米を再び-。兵庫県朝来市山東町矢名瀬町の此の友酒造が、同県豊岡市の農家と協力し、“幻の酒米”とも呼ばれる「但馬強力」の再生に取り組んでいる。かつては兵庫県の奨励品種だったが、栽培の難しさや効率の低さなどから姿を消していた。復活を呼び掛けた同酒造杜氏の勝原誠さん(46)は「但馬の土地になじんだ、但馬での酒造りに最適な酒米。ずっと絶やさないようにしたい」と意気込む。(竜門和諒)

 但馬強力は1925(大正14)年、朝来市内にあった兵庫県立農事試験場但馬分場が、鳥取県の酒米「強力」を取り寄せて品種改良。育った稲穂の中から良質の穂を選んで交配を重ね、但馬の風土に合った酒米として生まれた。

 心白の発現が良いため、高度精白が求められる高級酒の醸造に適しており、28(昭和3)年には県の奨励品種に指定。しかし、イネの丈が高く倒れやすいなど栽培が難しいほか、同時期に広まった山田錦にも押され、次第に姿を消した。

 平成に入って市島町(現丹波市)などが復刻に成功したが、発祥の但馬地域では本格的な栽培が行われていなかったという。5年前、復活を望む声を地元で聞いた同酒造が県農林水産技術総合センター(加西市)に依頼し、種もみ2キロを譲り受けた。

 米作りを担ったのは、自然農法に取り組むてらだ農園(豊岡市出石町宮内)代表の寺田正文さん(57)。勝原さんの「農家と杜氏が力を合わせて究極の酒米を作りたい」という思いに共感し、2年前から栽培している。

 寺田さんは但馬強力のイネを「しなやかで女性的」と表現する一方、栽培については「小手先ではゴールに近づけない」というほどの難しさを感じたという。他品種との交雑に注意し、台風やゲリラ豪雨などの天候に気をもむ日々。3年目にして作付面積を45アールまで拡大させ、安定生産にこぎつけた。

 収穫は10月20日ごろからを予定。寺田さんは「おいしい酒を飲めるのが楽しみ」と笑顔を見せる。勝原さんは「寺田さんの思いを胸に酒造りに挑戦する。何年もかけて多くの農家や酒蔵を巻き込み、但馬強力を巨木に育てたい」と力を込める。

 同酒造は但馬強力を使った特別純米酒を受注生産し、予約を16日まで各酒販店で受け付ける。720ミリリットル入り1947円、1・8リットル入り3740円。此の友酒造TEL079・676・3035

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