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減少に歯止めがかからない瀬戸内海のイカナゴ。昨年のシンコ(稚魚)漁では、1回の水揚げがわずか1箱だった船も=2019年3月5日、神戸市垂水区平磯3、垂水漁港
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減少に歯止めがかからない瀬戸内海のイカナゴ。昨年のシンコ(稚魚)漁では、1回の水揚げがわずか1箱だった船も=2019年3月5日、神戸市垂水区平磯3、垂水漁港
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 瀬戸内海のイカナゴの減少について、兵庫県水産技術センター(同県明石市)などの研究チームが、「栄養塩」と呼ばれる窒素やリンの減少が主因と突き止めた。栄養塩と水産資源量の関係の科学的解明は世界でもほとんど例がないという。県は研究成果を基に、国による栄養塩の回復や管理を進めるため、瀬戸内海環境保全特別措置法(瀬戸内法)の再改正を求める方針だ。(山路 進)

 イカナゴの減少は愛知や三重、福岡など各地で発生。原因として栄養塩減少や水温上昇の可能性が指摘されながら裏付けはなかった。

 研究は、県が2019年度までの5年間で進める「豊かな瀬戸内海再生調査事業」の一環。海洋環境などの学識者でつくる県の検討会(委員長=中田喜三郎名城大大学院特任教授)で19年12月、チームの研究者らが発表した。20年3月の最終会合で「イカナゴ減少のシナリオ」としてまとめる。県はその後、瀬戸内法の再改正を国に求めていく。

 チームは、同センターが保管するイカナゴの標本や調査データを分析した。年を追うごとにイカナゴの餌の動物プランクトンは減り、胃の内容量も減少。イカナゴは痩せていき、雌1匹当たりの卵の数は約30年で約3割少なくなった。

 多くのイカナゴがいた約20年前と現在の違いを解明するため、同センターは海洋調査分析会社「日本海洋生物研究所」(東京)にモデル開発と解析を委託。16、17年の時々刻々の気象や水質、潮流、河川、工場排水、プランクトン量、漁獲位置や量などのデータから、コンピューター上で海域一帯を10秒ごとに再現できる3次元モデルを構築した。

 このモデルを用い、陸から流れ込む栄養塩の量と、イカナゴの数や成長などの相関を検証。約20年前の水準の栄養塩を数年間供給すると、明石海峡周辺のイカナゴは3月の漁期に約2倍、産卵場の稚魚も数倍に増えた。一方、海域の栄養塩濃度は環境基準値以下に収まり、汚染することもなかった。

 研究を統括する同センター参与の反田実さん(70)は「漁獲量回復への道筋が見えてきた。ただ、下水処理場や工場、農地などから供給される栄養塩は一気には増やせない。漁業活性化に向け、環境の変化も追跡しながら海の栄養環境改善を進めてほしい」と話す。

【瀬戸内海の環境対策】高度成長期に富栄養化によるプランクトン大量発生で赤潮が頻発。1978年の瀬戸内海環境保全特別措置法(瀬戸内法)制定など、環境基準の設定や栄養塩減少策が進み、水質は改善する一方、漁獲量は減少した。議員立法で2015年に同法が改正され、「豊かで美しい海」を目指す政策に転換。同改正法は付則で、栄養塩と水産資源の関係を解明する研究の必要性を指摘し、研究成果に基づいて20年をめどに所要の措置を講ずるとしている。

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