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教育評論家の尾木直樹さん(臨床教育研究所「虹」提供)
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教育評論家の尾木直樹さん(臨床教育研究所「虹」提供)

 神戸市立東須磨小学校(同市須磨区)の教員間暴行・暴言は、社会に大きな衝撃を与えた。子どもたちを導き、育むべき「先生」に、いま、何が起こっているのだろうか。「尾木ママ」こと教育評論家の尾木直樹さん(72)に聞いた。

 とにかく、驚愕(きょうがく)している。これほどの大胆な教師いじめは聞いたことない。でも、神戸だけの問題でもない。

■「教育ムラ」

 なぜ、こんなことが起こるのか。思い浮かぶ言葉は「教育ムラ」。つまり、教育委員会と学校を取り巻く閉鎖社会が生み出す問題だ。

 大阪教育大付属池田小で2001年に起きた児童殺傷事件から、全国の学校がセキュリティーを強化した。扉を閉ざし、校内の問題が外に伝わりにくく、風通しが悪くなった。

 政令市独特の人事も影響している。神戸市採用の教員は異動範囲が市内に限られ、顔なじみばかり。出身大学や赴任校の元同僚といった縁で上下関係が生まれやすい。

 密室の中で序列化が進む。これが「職員室カースト」。カースト上位の条件は、教師としての力量ではなく、いわゆるボスのような性格になる。

 現校長が会見で、加害教員4人を「学校の中核教員」と呼んだ。極めて引っ掛かる表現だ。普通は教頭、主幹、主任など役職名を使う。これらは、うまく機能すれば先生同士が民主的に力を発揮できる。

 しかし、機能しなければ、校長と気の合う「中核」教員が幅を利かせ、カーストを形成する。東須磨小ではこうして、深刻な事態が見過ごされてきたのではないだろうか。

■教委の機能

 神戸では、市教委と学校がいい関係ではないように思う。教員人事が校長の意向で支配される「神戸方式」もその典型だ。

 例えば、ある学校で問題が起きても教委の指導主事は、確実に“手加減”する。なぜなら指導主事は教員出身で退職前に、学校の管理職に就く。「将来自分が校長で赴任したら…」と思うと、どうしても現場をかばってしまう。

 そんな閉鎖的な教委は機能を縮小し、先生方の授業サポートに役割を特化してもいいのではないか。

■「いじめは犯罪」

 子どもと先生の信頼関係は決定的に傷ついた。行政処分や刑事罰などでけじめをつけなければならない。そうすれば、子どもは「いじめは犯罪だ」と認識する。

 あってはならないが、「先生も、大人も、社会もいじめをすることがある」と深く考えるのではないか。からかわれて笑みを浮かべる友達を見て「笑っているのではなく、実は苦痛に顔をゆがめている」と気付けるのではないか。子どもの柔らかい感性が、いじめを許さない心を育む。

 一連の問題は、神戸の教育に大きな傷を残した。それでも、先生の魅力は、夢や希望に輝く子どもと直接向き合えること。この原点に戻れば、きっと立ち直ることができる。(聞き手・佐藤健介)

【おぎ・なおき】1947年滋賀県生まれ。教育評論家。法政大名誉教授。中高と大学で計44年間教育現場に携わる。臨床教育研究所「虹」所長として、教育や子育てに関する調査研究と評論活動に従事する。

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 さまざまな分野の方に聞くリレーインタビュー「先生はいま 私の考え」は随時、掲載します。

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