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いじめ問題について語る中川翔子さん=東京都渋谷区
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神戸新聞NEXT
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 「死ぬんじゃねーぞ!! いじめられている君はゼッタイ悪くない」。この夏に文芸春秋社から刊行された、インパクトのあるタイトルのエッセーが話題となっている。著者は歌手でタレントの中川翔子さん(34)。中学校でいじめられて不登校になった経験を、自作の漫画や、いじめ体験者へのインタビューを交えてつづった。靴を隠されたり、聞こえるように悪口を言われたり、それでも吐き気をこらえながら通学した日々。エッセーを読んで、“しょこたん”の愛称で親しまれる明るい印象とのギャップに驚いた。タイトルに込めたのは死にたかった夜を越え、今を生きる中川さんの心の叫び。「生きていてよかった! そんな心震える日が必ず来る」(末永陽子)

 ー当時流行していたプリントシール帳を持っておらず、一人で好きな絵を描いていると「キモイ」と言われて、いじめが始まった-。著書では壮絶な体験を語っています。

 「出演したテレビ番組で、不登校やいじめに悩む10代と接する機会がありました。私が約20年前に経験した集団無視や、クラス内の身分制度のような『スクールカースト』は今もある。さらに会員制交流サイト(SNS)や無料通信アプリ「LINE(ライン)」が広まり、新たないじめも生まれていた。親や教師が見えない場所でのいじめが増え、しかも細分化している。驚きました」

 「全国でいじめや自殺の報道があるたびに問題が議論され、いじめ防止対策推進法も成立しました。なのに、いじめはなくならない。大人になった私に何かできないかな、と。ブログやSNSでは一時的に共有されやすいけど、どうしても言葉が流れていってしまうので、紙の形にまとめました」

 ー苦しんでいても、親や先生に相談できない子が多い。

 「私もそうでした。いじめの標的にされた自分が欠陥品のように思えて。大人に知られたら負けだ、と思っていた。中学3年の時、靴を隠され、初めて先生に事情を話しました。涙が止まらず、先生は新品を渡してくれました。でも後日、その先生から言われたのは『早く靴代を払ってほしい』。先生はいじめをなかったことにした。その瞬間、心のシャッターがガシャン、って。言葉にならないほどショックで、もう全てが嫌になりました。大人は信用できない。そのまま不登校になり、卒業式にも出ませんでした」

 「父が病気で亡くなってから、働きながら育ててくれた母にも言えなかった。理由を言わず、ただ『学校に行きたくない』と言うと、母から『義務教育だから』と馬乗りになって叱られたことも。何度も言い争いました。でも、最終的には通信制の高校を見つけてくれて。死にたくなるくらいなら、学校に行かなくていいと思う。不登校は自分に合った別の道を見つけることにつながる。通信制やフリースクールなど学べる場は他にもあります。親や教師に言えなくても、電話やインターネットの相談窓口もある。どこかにSOSを出してほしいんです」

 ー全国の小・中・高等学校で、2018年度に自殺した子どもは332人。不登校は21万人を超え、いずれも前年を上回りました。なぜ、いじめはなくならないのでしょう

 「猫を9匹飼っているんですけど、どうしても仲が悪い子同士はいて。生き物には本能としての攻撃性があるとは思います。全員と仲良くできる人はいません。相性が合わない相手もいるでしょう。でも、それが攻撃していい理由にはならない。人間には理性があります。いじめを助長する周囲を変えることができる。被害者のSOSを聞く、隠蔽(いんぺい)する風潮を止める、いじめに加担しない勇気を持つ、とか。いじめをゼロにはできなくても減らすことはできる。私もいじめは愚かでくだらないって、発信し続けます。自ら命を絶つ人を一人でも減らしたいから」

 ーリストカットの経験についても書かれています。死の衝動をどう乗り越えたのですか。

 「包丁で手首を切り付けたとき、たまたま母が気付いて。泣きながら叱られました。あのときの母の涙は忘れられません。漫画やゲーム、インターネットなど趣味にも救われました。熱中している時間は全てを忘れられた。苦しみから逃げるために毎日していたことは、今の仕事にもつながっています。だから、この世から消えたいと思っても1日先延ばしにしてほしい。代わりに好きなことをする。好物を食べる。ゲームをする。一度寝る。何でもいい。続けると『これ、おいしい』『ゲームや漫画の新作が出るな』とか、少しだけ元気になれる日がある。そうやって生き延びてほしい」

 「大人はよく『つらいのは今だけ』『卒業すれば楽になる』と言います。でも、子どもには学校と家しか居場所がありません。明日一日を、次の休憩時間5分をどうやり過ごすか。毎日が地獄なんです。『いじめられる方にも問題がある』という人がいるけど、あり得ない。100パーセントいじめる方が悪いのに。どうしていじめられた方が転校を強いられたり、時間やお金を負担したりしなきゃいけないんだろう。海外では加害者を転校させるケースもあると聞きました。とにかく被害者を守ってほしい。全ての大人へのお願いです」

 ー神戸市では、小学校の教師4人が同僚をいじめていたことが明らかになりました。職場でのいじめや嫌がらせも増加傾向にあります。

 「ニュースで知り、ぞっとしました。信じられない。許せません。やっている嫌がらせがもういじめのレベルではなく、犯罪です。大人の責任は重大。『理不尽なこともあるけど、大人になるって楽しい』と、子どもたちに背中で見せる必要があるのに。加害者には誰かを攻撃しても、結局自分に返ってくるんだということを知ってほしい」

 ー最後に、タイトルに込めた思いを

 「好きな漫画やアニメ、ゲームなどを書いたブログが、仕事上での転機になりました。アニメソングを歌ったり、絵を描いたり、憧れのジャッキー・チェンさんに会えたり。想像もできなかった奇跡に出合えた。生きていてよかったと思える瞬間がたくさんありました。今いじめている人は、いじめられている君の未来に何の関係もない他人です。だから、そんな人たちのせいで命を絶つなんて絶対にだめです。10代で見つけた趣味が未来の自分を助けてくれた。30代になって、全てに意味があったと思えるようになりました。人生には壮大な『結果オーライ』がある! 生きていれば、死ななくてよかったと思える日は必ず来る。だから、生きて、生き延びてほしい」

■データ 文部科学省によると2018年度に小・中・高、特別支援学校で認知されたいじめの件数は、前年度比約31%増の54万3933件。過去5年間の傾向として、小学校でのいじめが大幅に増えている。

【なかがわ・しょうこ】1985年生まれ。東京都出身。ミス週刊少年マガジンに選ばれてデビュー。タレントや歌手など多方面で活躍。近年は「いじめ・引きこもり」がテーマの番組などに多数出演している。

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