西播

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県立大学西はりま天文台から見た佐用の星空=佐用町西河内(天文台提供、橿本利巳さん撮影)
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県立大学西はりま天文台から見た佐用の星空=佐用町西河内(天文台提供、橿本利巳さん撮影)

 「♪見上げてごらん夜の星を~」。兵庫・佐用の夜空は、坂本九さんのヒット曲を口ずさみたくさせるんです。それもそのはず。都市部と比べれば、およそ100倍の星たちが見えるから。「星空の街」佐用の中心部に位置する大撫山(おおなでさん)(標高435・5メートル)上には県立大学西はりま天文台があり、国内最大の公開望遠鏡「なゆた」が、私たちに100億光年かなたの宇宙を見せてくれる。今春、開設から30年を迎えた天文台の歩みとともに、佐用の輝く星空の秘密をお伝えします。(勝浦美香)

 天文台が佐用・大撫山にできたきっかけは、県が計画する「西播磨野外CSR施設」の建設予定地になったことだった。どんな施設を大撫山頂につくるか-。1987年、旧佐用町が住民から案を募り、果樹園、キャンプ場などさまざまな意見が寄せられた。「天体観測のできる施設」も多かった。決めあぐねた町と県の職員たちが、実際に山を歩いて考えることに。まとまらないまま夜になったが、頭上に輝き始めた星たちを見て確信した。

 「ここには星がある。天文台をつくりましょう」

 実際、空気の動きが少なく、周囲の視界を遮るものがない大撫山頂は、天体観測にはうってつけの場所だった。90年4月、当時大阪市立科学館の学芸員で、姫路市出身の黒田武彦さんを天文台長として招き、西はりま天文台が開館した。

 目指したのは、一般市民が親しめる施設。黒田さんがよく使った言葉に「星は私たちのふるさと」というものがある。人間は、宇宙の中で繰り返されてきた星の誕生と死が偶然つくりだしたものといっても過言ではない。星空を生かした佐用のまちづくりを、住民が「ふるさと」を愛する気持ちにつなげたい。黒田さんはそう願っていた。

 さらに黒田さんは人脈を生かし、電波天文学の第一人者で国立天文台教授の故森本雅樹さんを施設の公園長として迎えた。

 最先端の研究に取り組むため「なゆた」の設置も開館当初から計画。当時国内最大は、国立天文台の観測所にあった口径188センチの望遠鏡。「国の施設を超える訳にはいかない」という雰囲気に挑むように、黒田さんは口径2メートルの「なゆた」設置を実行した。

 天文台は2012年に県立大の付置研究所となった。現在は研究員7人のほか、大学教授、学生たちも一緒に日々の研究に取り組む。「一般市民への貢献ができるからこそ、自らの研究が生き生きする」。そんな黒田さんのモットーを胸に、天文台は歩みを進める。

     ☆

 佐用の星空が美しい理由は、大撫山の環境だけではない。実は、県内唯一の「星空景観形成地域」。光の量を制限し、あえて真っ暗な夜にしているからだ。

 県は04年、現在の佐用町を県条例に基づく同地域に指定。商店街の街灯にかさを付けて下方向を照らすようにし、パチンコ店はサーチライトの使用をやめるなど暗さを保つ取り組みを始めた。

 「佐用の夜は真っ暗」と嘆く声もあるが、頭上に広がる無数の星たちをより輝かせるための暗さなのだ。

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