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住民らと街を歩き、平福の歴史を教わる利神小の6年生=佐用町平福
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住民らと街を歩き、平福の歴史を教わる利神小の6年生=佐用町平福

■アプリで児童の姿今も

 頂上に国指定史跡「利神(りかん)城跡」を有する利神山。そのふもとにある利神小学校(兵庫県佐用町口長谷)は26年前の1994年、長谷、平福、石井、海内(みうち)の4校が統合して誕生した。

 中央に星が記された校章は、佐用の夜空と子どもたちの未来を表す。校歌の作詞作曲は、童謡「サッちゃん」の作者として知られる阪田寛夫さんと大中恩さんが手掛けた。

 列島がバブル経済崩壊にあえいでいたこの頃、佐用町は加速度的に進む少子化に直面していた。利神小も開校時に220人を数えた児童が、15年で半分以下に。以降も歯止めはかからず、今年3月に最後の卒業生11人を送り出し、佐用小に統合された。

 その歴史の中で、さんぜんと輝く卒業生がいる。昨秋のプロ野球ドラフト会議で東北楽天ゴールデンイーグルスから1位指名を受け、今季入団した小深田大翔(こぶかたひろと)選手(24)だ。佐用町初となるプロ野球選手の誕生に、町中が盛り上がった。

 学校には小深田選手の特集コーナーが設けられ、活躍を伝える新聞記事や母校に贈られたユニホームなどが飾られた。昨年12月、閉校記念行事に訪れた小深田選手は「自分が活躍することで、学校の名前を広く残したい」と決意を語った。

 いつまでも学びやを残したいという思いは、子どもたちも変わらない。

 2017年から毎年6年生が取り組んできた街歩き活動では、因幡街道の旧宿場町として知られる平福について住民から教わり、観光名所を拡張現実(AR)アプリで発信してきた。19年には「六地蔵」や「旧田住(たすみ)邸」などを追加。そして最後に加えたのが、慣れ親しんだ利神小だった。

 スマートフォンなどで専用アプリ「ARマチアルキ」を立ち上げ、看板や標識の前で内蔵カメラをかざすと、子どもたちが調べて歩いた各スポットの観光情報が表示される。利神小の場合、校門前でアプリを起動すると、学校の歴史だけでなく児童らが校歌を歌う動画も見ることができる。

 子どもたちに平福を案内した観光ボランティアガイドの男性(70)は、観光客と一緒に街を歩く際、必ずこのアプリを紹介する。最後の卒業生となった女児らも「学校がこんな形で残っていくのはうれしい」と感慨深そうに話す。

 スマホをかざせば、今でも利神の子らの輝く姿がよみがえる。(勝浦美香)

     ◆

 少子化の影響で、中西播地域では今春、三つの小学校(佐用町2校、神河町1校)が閉校した。長く地域に根ざし、住民に親しまれた学びやの記録を刻みたい。

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