西播

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男性1人が犠牲になった土砂崩れ現場。壊れた家屋は撤去されたものの、災害直後とほぼ同じ光景が残る=宍粟市一宮町公文
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男性1人が犠牲になった土砂崩れ現場。壊れた家屋は撤去されたものの、災害直後とほぼ同じ光景が残る=宍粟市一宮町公文
小原集落への県道を寸断した土石流現場。防護柵がほぼ完成した=宍粟市一宮町公文
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小原集落への県道を寸断した土石流現場。防護柵がほぼ完成した=宍粟市一宮町公文
避難中に土砂崩れで自宅が全壊した黒田光康さん。がれきの中から午前1時23分40秒で止まった台所の時計が見つかった。借家の玄関先に置き、早めの避難を肝に銘じている=宍粟市
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避難中に土砂崩れで自宅が全壊した黒田光康さん。がれきの中から午前1時23分40秒で止まった台所の時計が見つかった。借家の玄関先に置き、早めの避難を肝に銘じている=宍粟市

 西日本豪雨の発生から、6日で丸1年を迎えた。兵庫県宍粟市は河川や道路、農地など約300カ所に総額約57億円の被害を受け、災害の爪痕が今も生々しく残る。復旧状況について福元晶三市長は「50%まで達成できた。今年中に80%にしたい」との認識を示すが、工事の入札に応じる企業が現れない不調も相次ぐ。被災地の現状を取材した。(古根川淳也)

■残る爪痕

 1人暮らしの男性が犠牲になった同市一宮町公文の小原集落(4世帯11人)では、民家を押しつぶした土砂崩れが1年前とほぼ同じ姿で残っていた。壊れた家屋は撤去されたものの、棚田や宅地だった場所には崩落した赤土が約3メートル堆積したまま。崩れた斜面については県が本年度中に治山工事を行うという。

 近くの女性(63)は「生活は元に戻ったが、この光景は1年たっても慣れない」と声を落とした。

 豪雨では下流の枝谷で発生した土石流が県道を寸断。集落は孤立した。現場には土石流対策の防護柵がほぼ完成し、枝谷の上部では砂防ダムの建設が進む。

 危険性は低下したが、女性は「普段から落石が多く、どこが崩れるか分からない。わが家の裏山も心配で、また台風が来たら早めに避難したい」と話した。

■公民館を避難所に

 昨夏は豪雨以降も台風や長雨が相次ぎ、市は9月末までに計6回の避難勧告や避難準備情報を発表した。蒸し暑い体育館で一夜を過ごすことが度重なり、避難所の環境整備を求める声が強まった。

 市は本年度から、体育館などの指定避難所を45カ所から29カ所に減らす一方、市内に150カ所以上ある地域の公民館を一時避難所として優先的に活用するよう方針を改めた。

 身近な公民館の方が空調やテレビなどが整って快適に過ごせるとの考えで、災害時には各自治会長に開設を呼び掛ける。ただ現時点で、こうした方針変更は市広報にも掲載されていない。周知や公民館の安全性の判断は各自治会に委ねられ、住民の自助・共助の役割が今まで以上に重くなる。

 一宮町北部の自治会長は「自分たちで助け合う大切さは昨年で痛感した。高齢者らを明るいうちに避難させるよう、住民で手分けして対応したい」と話した。

■3割が入札不調

 道路、河川の復旧工事のうち、市の発注分は100件で計約18億円。業者を募集した69件のうち23件で応札がなく、不調に終わった。6月末までの工事完了は9件。一方、国と県が発注した約50件21億円の工事の大半は本年度中に終わる見込みだという。

 不調が多い理由について市内の業者は「市の復旧工事は作業が大変なのに価格が安く、割に合わない」と指摘する。市が管理する道路や河川は上流部の不便な場所が多いが、工事費の単価は国や県が担う幹線と同じ。作業が容易で利益が出やすい国や県の工事を優先しがちになるという。

 市は「7月から災害限定で規制を緩和し、工事を受注しやすくした。時期を変えて再発注し、復旧を進めたい」とした。

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