西播

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夜間を中心に開くブックカフェ「トキシラズ」=相生市那波大浜町
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夜間を中心に開くブックカフェ「トキシラズ」=相生市那波大浜町
朝、夕と乳牛の世話をする山本岳史さん=相生市若狭野町下土井、山本牧場
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朝、夕と乳牛の世話をする山本岳史さん=相生市若狭野町下土井、山本牧場

 人口3万人の港町、兵庫県相生市に夜だけ開くブックカフェがある。古い洋書や写真集、古典文学、絵本など古書約2500冊が並ぶ「トキシラズ」。挽き立てのコーヒーの香りが漂う店のあるじ、山本岳史さん(36)は酪農家でもある。朝は乳牛の世話、夜はブックカフェという風変わりな兼業には理由があった。(伊藤大介)

 田園風景が広がる同市若狭野町下土井に、山本牧場はある。スズメがさえずる午前7時前、山本さんと両親が牛舎で27頭の乳搾りを始めた。手で搾って乳の状態を確認し、乳頭を拭き清めて搾乳機を取り付ける。5~10分ほどで搾り終え、乳頭を消毒する。干し草の塊を運んだり、ふん尿を掃き流したりする作業も含めて、すべて人の手で行う。「搾乳は素早く終わらないと、牛に負担が掛かる。一人ではとてもできない」と父渉さん(66)は言う。

 渉さんは腰にコルセットを付け、母輝美さん(64)も背中に手をやりながら作業を行う。ともに重労働がたたって脊柱管狭窄症や背骨の骨折に見舞われ、現在も治療を受けている。年々、体力が衰える両親に代わって、山本さんは朝と夕、数十キロの餌を運ぶなどの力仕事を担う。高齢化が進み、相生市内で乳牛を飼っているのは山本牧場だけ。輝美さんは「この子が牧場を手伝ってくれていなかったら、うちもとうに廃業していた」と振り返る。

 大学時代、東京・目黒でブックカフェに出合った山本さんは、2010年に古里相生で店を開いた。昼から営業する予定だったが、母の大腸がんが見つかり、夜カフェに切り替えた。朝から牧場、昼までカフェで仕込みや掃除、夕方に再び牧場で搾乳、夜から開店-と慌ただしい日々を送るが、「やらなきゃなんないことをやってるだけですから」と気負った様子はない。

 酪農と夜カフェとの兼業を、農業と天職を組み合わせた「半農半X」やスローライフになぞらえられることもあるが、「そんなおしゃれなものじゃない」と苦笑する。「土っぽい仕事が好きなので、続けられるところまで続けられたら」

 トキシラズでは、山本牧場が牛乳を卸す「雪印メグミルク」を使っている。平日は午後7~11時、土日は午後1~11時。木曜休み。トキシラズTEL0791・22・7401

◇山本岳史さんの1日◇

午前7~9時 牧場で搾乳や餌やり

午前10~12時 カフェで仕込み、清掃

午後4~6時 牧場で搾乳や餌やり

午後7~11時 ブックカフェ営業

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