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交代で集まるトークゆうゆうのメンバーやスタッフ=4月22日、三田市三田町
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交代で集まるトークゆうゆうのメンバーやスタッフ=4月22日、三田市三田町

 新型コロナウイルスの感染拡大は、予期しない日常の変化に不安を感じやすい障害者たちに影響を与えている。厚生労働省は障害者施設について「生活の維持に必要」として運営の継続を求めているが、施設側も感染防止への葛藤は大きい。兵庫県内の通所型施設2千600カ所のうち99カ所が休業しており、利用者は生活のリズムが崩れたり、収入の大幅な減少に直面したりしている。サポートする職員や家族の苦悩を取材した。(喜田美咲)

 「よかった~。やっと来た。どうしてたの~」。4月22日午後、就労支援事業所「トークゆうゆう」(三田町)にホッとした空気が流れた。午前中に来る予定だった利用者の男性(71)が現れず、職員らが心配していたのだった。

 同施設は脳卒中やけがの後遺症で読む・聞く・書く・話す-ことが困難になる「失語症」の人が多く通う。パンの製造販売や工場から請け負う部品製造、販売用の絵画作品を作るなどして就労訓練を続けている。

 ただ、電車通勤が多く、作業に伴う濃厚接触は避けられない。施設側は新型コロナ対策で4月14日から原則、自宅で作品づくりに取り組む「在宅ワーク」に切り替えた。

 それでも自宅待機は簡単ではないという。男性には記憶力や判断力が低下する脳血管障害があり、平日は毎日通っていた。そこで週1回は決めた日に出てくるよう約束したが、外に出られなくなってしまった。

 「はっきりとした理由は分からないけれど、一人でずっといることが不安だったんだと思う。来た時に泣いていたの」と田中加代子所長(70)。一人暮らしで週3回はヘルパーが来るが、在宅期間が増えて食事もつくらなければならない。買い物に付き添って予算設定やバランスの良い組み合わせを助言し、気持ちをくみ取れるよう話し合った。

 職員らは交代で出勤して利用者宅に電話し、体調や家での様子を確認する。思うように意思を伝えられず、家族が戸惑うケースもある。例えば、数字が言えない症状には、1、2…と数を読み上げ、言いたい数に反応してもらうなど適切な対応を伝える。

 「不安なのは利用者の生活サイクルが崩れること。せっかくできるようになっていたことができなくなったりしないだろうか」

     ◇

 施設では併設する喫茶店も4月20日から休業し、パンを販売してくれる店やイベントも閉鎖、中止が相次ぐ。全体の売り上げは通常の6割減にまで落ち込んだ。利用者は時給制のため、時短や在宅ワークにより工賃も減らさざるを得ないという。「モチベーションのためにも、働いてくれた分は支払っている。それでも収入減で支払いは正直、厳しい」と打ち明ける。

 障害者団体の全国組織「きょうされん」が3月に行った調査では、全国281カ所の事業所のうち、工賃が「2割以上減った」と答えたのは53%に上った。

 休業せずに運営を継続しても、利用者が取り組める仕事が減っている。規模を縮小して続ける事業所もあるが、近隣から『何で開いているの』と非難めいた声もあって閉めるしかなくなった事例もあるという。

 トークゆうゆうは18日から施設での作業を時短で再開する。田中さんは「利用者や家族の負担は大きいが、多様な障害に対して、どんな対応や支援ができるか。今こそ周囲も考えてみてほしい」と話す。

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