三田

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「今年も神楽に連れて行くからね」。義和さんの遺影に語り掛ける森垣恭子さん=高次八幡神社
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「今年も神楽に連れて行くからね」。義和さんの遺影に語り掛ける森垣恭子さん=高次八幡神社
秋祭りに向けて練習に励む高次神楽保存会のメンバー=高次八幡神社
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秋祭りに向けて練習に励む高次神楽保存会のメンバー=高次八幡神社
厳かな雰囲気の境内で奉納された昨年の神楽=2018年10月=高次八幡神社
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厳かな雰囲気の境内で奉納された昨年の神楽=2018年10月=高次八幡神社

 9日にある高次八幡神社(兵庫県三田市高次)の秋祭りで、今年も「高次神楽保存会」が神楽を奉納する。1950年に途絶えたが、約40年前に有志が復活させた。その中心にいたのが、森垣義和さん(享年78)だ。「地域を盛り上げよう」と呼び掛け、誰もが「心から祭りが好きな人だった」と口をそろえる“お祭り男”だった。長い闘病の末に亡くなって2年がすぎ、担い手が減りつつある中、仲間たちは思いを未来につなげようと秋の夜に舞う。(門田晋一)

 横笛や太鼓に合わせて獅子舞が激しく体を震わせる。その隣で、天狗が二つのばちを振って豪快に踊る。

 保存会によると、神楽は古くから夏と秋に執り行われてきたが、三田を離れる若者が増えて後継者が途絶えたという。

 神楽の復活へ、義和さんらは80年ごろに動き出した。妻の恭子さん(73)によると毎晩4、5人が家に集まり、「会議を名目に深夜まで飲んで、にぎやかやったわあ」と懐かしむ。

 同年に保存会を設立。地域のお年寄りにしきたりを聞き、神楽を続ける大歳神社(大原)の氏子に曲調や振り付けを学んだ。地域に呼び掛けて35人が集まり、当日は参拝者延べ3千人を超える大成功を収めた。

 軌道に乗って後進の育成にも励んだ。現在、獅子を務める松下修さん(54)は、たてがみの作り方や足運びを教わったという。「優しく丁寧に教えてくれて父親のような存在だった」

 2007年、義和さんに膀胱がんが見つかる。入退院を繰り返しながらも練習に顔を出し、元気に振る舞ったが、16年以降は祭りに参加できなくなった。恭子さんは「病室でもずっと気にしていてね。『元気になればまた行けるよ』と励ましたけど、悔しくて一緒に泣いたわ」と振り返る。

 17年2月に旅立った。葬儀では「天国でも神楽を楽しんでほしい」と、豆絞りの手ぬぐいを首に巻き、浴衣を着せ、手には笛を持たせた。保存会のメンバーは、荒神払いの陽気な笛の音色を奏でて見送った。

 その年の秋祭りから、恭子さんは遺影を携えて祭りを手伝っている。笛や太鼓が鳴り響く境内に立つと寂しさも覚えるが、「森垣さん、しっかり見とってよ」と写真に語り掛ける仲間の姿に、強い絆を感じて涙がこみ上げそうになる。

 保存会は、高齢化で年々メンバーが減ってきている。それでも「復活させた苦労を考えれば、やっぱり、やり続けなね」。笛の高松栄司さん(53)の言葉に、メンバーが力強くうなずいた。松下さんは「天国から『なにしとんどいや!』と叱られないようにせなあかん。練習あるのみ」と気合を込めた。(門田晋一)

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