三田

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駐車場から練習場に向かう松井翔吾さん、智彦さん親子。何気ない毎日がいつか宝物に=その田卓研
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駐車場から練習場に向かう松井翔吾さん、智彦さん親子。何気ない毎日がいつか宝物に=その田卓研

 車の中。後ろに座る中学卓球男子の県ナンバーワン選手、有野北中3年松井翔吾さん(14)がイヤホンを着けて音楽を聴く。運転するのは、仕事終わりの父、智彦さん(47)=神戸市北区。くつろいだ雰囲気で、自宅から教室まで片道約15分。2人は7年間、この往復を毎日続けてきた。

 練習中、智彦さんは他の保護者らと選手の球拾いをする。初心者の100本ラリーも相手して「打った後はすぐ返球に備える。素早く手を戻さな」と丁寧に助言する。そして息子の対戦選手の特徴を調べ、遠方の試合に付き添い、動画を撮って2人で動きを見直す。

 「自分の子どもがどんな状況なのか、親が知らんで誰が分かる?」と代表の園田八朗さん。教室は、親子二人三脚が基本だ。

    ◇

 翔吾さんは小学2年のとき、卓球未経験で神戸市民大会の3位に入り、「練習すれば全国に行けるかも」と、父に勧められて教室を見学した。強烈なバックハンドを繰り出す同年代の選手がぞろぞろいるのを見て、隣の父に一言。「やる」。野球で育って卓球初心者だった智彦さんもラケットを握り、親子で練習した。

 一日ボールに触れないと感覚が鈍る。今日は昨日より、うまく打てるかもしれない。智彦さんが疲れを心配する日も、口数の少ない翔吾さんがはっきり「練習したい」と意思を伝えるようになった。小学4年で全国ホープス大会(小学6年以下)県選抜に選ばれて優勝。今年3月は14歳以下の全国上位が集う東京都選手権でベスト16になった。

 最高のライバルが同じ学年で同門の楞野春陽さん(15)だ。2人で昨年11月の全日本選手権カデット(14歳以下)ダブルスでベスト16に入った。続く12月の県新人大会個人戦は、神戸市区大会、市大会の両決勝で翔吾さんが敗退。だが県大会決勝は1-1の第3ゲームで、それまで短く返していたサーブレシーブを長い返球に切り替え、楞野さんの意表を突いて勝利した。

 手の内を知り尽くしても、相手の先手を瞬時に読める方が勝つ。100メートル走をしながらチェスをするような競技と言われる。勝っても負けても反省点を突き詰める毎日が実を結ぶのか、翔吾さんは練習漬けで勉強する時間は少ないのに、学校の成績はいつも上位だ。

    ◇

 翔吾さんが目指す高校は強豪校で、進学すれば親元から離れることになる。環境になじめるか。1人で食事管理ができるか-。智彦さんは心配が尽きない。

 「卓球で食べていける選手は一握り。(息子が)どこまでいけるかは分からない」。同年代の子どもは友だちと遊び、いろんな習い事に通っている。10代で道を絞ってしまっていいのか、と考えることもある。

 ただ、本気でやるからこそ、悔しがって泣ける。大人になってもつながる仲間ができる、と信じている。

 「せっかく一緒にやるんだったら一生懸命やった方がいい」(山脇未菜美)

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