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前衛美術収集に懸けた情熱 山村コレクション展

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更新日:2019年09月16日

  • 杉山知子「“THE START‐a man and mamorigami”」などが並ぶ会場=兵庫県立美術館

 阪神間に、自身が生きた1950~80年代の日本の前衛美術作品を私財を投じて収集した実業家がいた。その名は山村徳太郎(26~86年)。膨大な収集品の全体像を紹介する展覧会(神戸新聞社など主催)が、兵庫県立美術館(神戸市中央区)で開かれている。山村のまなざしを追いながら、美術に懸ける情熱を体感できる。(池本新子)
 兵庫県西宮市在住で製瓶(せいびん)会社「山村硝子」(現日本山村硝子)の社長だった山村は、戦後の前衛美術を収集。没後、同館の前身、県立近代美術館へ一括収蔵された。
 抽象のパイオニア世代から、世界で再評価が高まる前衛美術集団「具体美術協会」メンバー、80年代のニュー・ウエーブ世代まで、68作家の絵画、立体など167点。県立美術館学芸員の江上ゆかさんは「個人収集品とは思えないほどの大きさと充実した質を備えている」と話す。
 今回の「山村コレクション展」では、約20年ぶりに過去最多となる138点が、企画展示室に別棟のギャラリーも併せて広大な会場に並ぶ。特に収集の経緯に注目、関係者への聞き取りや文献資料などから推測し、コレクション形成をたどる構成だ。まさに山村の“眼”を追っていく。
     ■
 穏やかな線で画面いっぱいに描かれた人物が、もう一人を包み込む。津高和一「母子像」は、コレクション第1号の作品。山村は津高のアトリエを訪れて入手したという。作家と直接会うことを大切にした姿勢は終生変わらなかった。
 津高と、戦前から抽象的レリーフ作品を手掛けた斎藤義重、山村と同じ企業人であり「具体」を率いた吉原治良(よしはらじろう)、「具体」メンバーだった元永(もとなが)定正の4人が、コレクションの柱だった。
 元永の作品は、初期から「ヘランヘラン」をはじめ70年代以降の作品までそろう。中でも「具体」当時の秀作「タピエ氏」は、欧州へ流出していたのを購入した。他にも白髪一雄、田中敦子、嶋本昭三らの作品も買い戻して、コレクションの充実を図る。
 収集だけでなく、村上三郎「作品〈空〉」をはじめ、「具体」の失われた作品の再制作を試み、作家へのインタビューや写真など資料調査も進めた。会場には、村上の作品などを展示した56年に開かれた芦屋市の「野外具体美術展」の写真もある。写真には、作品の中から出てくる人の姿が写り、当時、体験型の作品だったことが伝わる。
 山村は「アブストラクト(抽象)と人間くさい前衛のはざ間」の方針で、将来の公開を意識して収集。ダイナミック、のびやか、ユーモアを感じさせる作品が多い。出会いを大切に自らの“眼”で厳選した同時代の作品を未来へとつないだ。21世紀の私たちが受け取るものは大きい。
     ◇
 9月29日まで。月曜(祝日・振替休日の場合は翌火曜)休館。一般1300円、大学生900円、高校生以下無料。阪神岩屋駅から徒歩約8分。同館TEL078・262・0901

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