三木

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協力して山田錦の苗箱を置いていく上松地区営農組合の農家ら=三木市吉川町上松
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協力して山田錦の苗箱を置いていく上松地区営農組合の農家ら=三木市吉川町上松
山田錦の稲刈りを撮影する米国公共放送の制作スタッフ=2019年10月16日、三木市吉川町
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山田錦の稲刈りを撮影する米国公共放送の制作スタッフ=2019年10月16日、三木市吉川町

 「ちょっと曲がってないか」。よく晴れた5月5日の朝。兵庫県三木市吉川町上松地区の農家らが集まって、腰を折りながら育苗箱1600個を4列に並べていく。小さな山田錦の芽を見てつぶやく。「もう少しで田植えができるな」

 同地区営農組合は11軒の農家が所属し、平均年齢は60代。人手不足と高齢化の波はここにも押し寄せ、「みんなで助け合ってやっていかざるを得ない」と同組合長の西田忠史(72)。育苗や田植え、稲刈りなどの力仕事は共同で負担を軽くし、高級車並みに値が張る農機具も共有することで費用を抑える。西田は「負担を減らし、何とか米作りを維持したい」と話す。

 同町には明治時代から地区別に酒蔵と専属契約する村米制度があり、販売先を安定的に確保してきた。作付け量は酒造会社の需要で決まるという。

 日本酒の出荷量は1973年に最高を記録した176万キロリットル超が、2018年には50万キロリットルを割り込んだ。吉川町山田錦村米部会長の五百尾俊宏(76)は「酒が売れんと米も売れん」と嘆く。

 そんな状況に、生産者組織や酒造会社が動いた。日本酒と若者をつなぐ事業「二十歳の山田錦物語」では、19歳以上の大学生らが田植えや稲刈り、酒造りを体験。自分たちで造った清酒を味わい、その魅力を伝える。

 外国人へのアピールにも力を注ぐ。日本酒の輸出が増える欧米では、ワインと同じように、高品質の酒米産地「特A地区」の生産環境「テロワール」に注目が集まる。五百尾の家でもフランス人が寝泊まりして米作りに挑戦した。「一流産地として海外に名をはせれば消費につながる」と期待を寄せる。

 阪神・淡路大震災など苦しい時も助け合い、困難を乗り越えてきた酒蔵と農家。新型コロナウイルス感染症の影響で今後、消費の先行きは見通せないが、五百尾は「特Aはなくならない」と言い切る。「代々受け継いできた特A地区の誇りを残していくのがわれわれの使命だから」と前を見据えた。(篠原拓真)

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