三木

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クランクインを迎え、気持ちを高める主演の高井佑美(中央)、江川裕樹(中央右)ら=4月14日、大宮八幡宮
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クランクインを迎え、気持ちを高める主演の高井佑美(中央)、江川裕樹(中央右)ら=4月14日、大宮八幡宮
監督の小西イサオ(右端)らが審査員を務め、映画出演者を決めたオーディション=1月19日、三木市立教育センター(提供写真)
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監督の小西イサオ(右端)らが審査員を務め、映画出演者を決めたオーディション=1月19日、三木市立教育センター(提供写真)

 「電車がなくなったら俺も死ぬ!」

 「ばかなこと言わないで!」

 せりふに熱がこもった。

 今年1月下旬、兵庫県三木市と神戸・元町で、神戸電鉄粟生線を舞台にした映画のオーディションが行われた。応募者は基本、2人一組で映画の一場面を演技。監督の小西イサオ(51)、総合プロデューサーの山本篤(50)ら審査員4人が真剣なまなざしを向けた。

 昨年11月から専用サイトやフェイスブックで募集。三木や近隣、東京など全国各地から約100人が応募し、予定を早めて締め切った。その中に、特別な思いを持って主演の女子高生役に挑んだ役者がいた。

 三木市出身で、役者の道を歩み始めて間もない高井佑美(24)。甲南大時代に通学で乗った粟生線が減便され、廃線の危機を肌で感じた。「存続してくれたことで無事に卒業できた。今度は粟生線に恩返しがしたい。自分に合う役がもらえれば」と思っていた。

 当日、指示されたのは冒頭の場面。三木駅で火災が発生し、現場へ近づこうとする幼なじみの男子役を、高井がいさめる。感情を込めつつ、精いっぱい演技した。特技のPRでは、クラリネットを演奏。「力を出し切ることはできた」と感じていた。

 会場には、演技経験のない三木高校の江川裕樹(16)の姿もあった。音楽部でベースを担い、人気バンドのカバー曲を演奏する今どきの若者だ。

 三木駅火災の場面は、応募する動機にもなった出来事。「何かしないと」との思いに駆られ、駅に行こうとする姿は、あの時、ざわついた自分の気持ちと重なる部分があった。

 オーディションが終わり、監督の小西は主役に別の20代女優を推すなど審査員の意見は分かれた。ところが後日、小西が映像を確認して考えが変わった。改めて見ると、高井の豊かな表情や凛とした姿が目を引き「本当の気持ちが入った芝居ができる」と確信したのだ。全員の意見は高井で一致。江川も飾り気がなく、伸びしろを予感させる演技が審査員の心をつかんだ。

 吉報を受けた高井は主演はもちろん、映画の出演も初めて。「喜びと同時に重みを感じた。二つの感情が五分五分」と明かす。準主役の座を射止めた江川も「頭が真っ白になった」。粟生線の各駅には高井と共に自身が写ったポスターが貼られ、同級生らから応援と心配の声を受けたという。

 出演者16人の顔ぶれは、ほとんどが地元住民か、経験の少ない役者。これこそ「市民を巻き込む」と山本が掲げた理想の形だった。だが、映画化の実現にはまだ難題が残されていた。=敬称略=(井川朋宏)

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