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市田左右太が1872年に撮影したとみられる石屋川隧道の写真(小野田滋さん所蔵)
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市田左右太が1872年に撮影したとみられる石屋川隧道の写真(小野田滋さん所蔵)

 神戸の写真師の先駆者・市田左右太(1843~96年)の現存最古とみられる写真が判明した。1871(明治4)年に完成した日本初の鉄道トンネル「石屋川隧道」(神戸市東灘-灘区)を撮影したもので、神戸の写真史の貴重な一こまとして注目される。

 市田は但馬・出石の出身で、1870年に神戸・元町で写真館を開業し“関西第一の大家”といわれた。没後に出版された略伝から、天井川に川底トンネルを通す「古今未曽有の工事」の撮影を願い出たことは分かっていたが、写真は特定されていなかった。

 元神戸市立博物館学芸員の田井玲子さんは昨年、鉄道総合技術研究所の小野田滋さんが所蔵する石屋川トンネルの写真を調査。写り込む男性が羽織った印ばんてんに「市田」「神港」の文字に気付いた。

 田井さんは、京都の社寺を撮った写真にも同様の印ばんてんを確認。それらを掲載した当時の英字新聞の発行年月日などから、72年4月ごろの撮影と推定し、これまでは最も古い市田の写真としていた。

 一方、同トンネルの写真にはレールが写っていないことから、「トンネルが完成した71年8月から、レールが敷設される72年11月までの撮影」と判断。さらに手掛かりとしたのは、神戸市博が所蔵する同トンネルの別の写真だ。工事の盛り土や柵の形が酷似していることに加え、写り込んでいる周囲の木が落葉していることなどから、撮影時期を「72年の早春」に絞り込んだ。

 同トンネルは1919年まで使用。76年には高架化され、今は残っていない。写真はれんがの積み方など細部を記録し、市田の高い技術もうかがわせる。

 今年は、英国人鉄道技師ジョン・イングランドが来神し、着工してから150年にあたる。「同じ写真をイングランドが所蔵していたことも、近年分かった。研究が神戸の近代史に関心を持つきっかけになれば」と田井さんは話している。(田中真治)

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