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点呼を前に黙とうする神戸保線区の職員=神戸市兵庫区駅南通5
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点呼を前に黙とうする神戸保線区の職員=神戸市兵庫区駅南通5
動揺検査の結果を見つめる小倉孝さん=神戸市兵庫区駅南通5
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動揺検査の結果を見つめる小倉孝さん=神戸市兵庫区駅南通5
工事で必要な器具を取り出す國末武司係長=神戸市兵庫区駅南通5
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工事で必要な器具を取り出す國末武司係長=神戸市兵庫区駅南通5
工事を前に、最終列車の通過を見守る職員ら=神戸市中央区相生町4
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工事を前に、最終列車の通過を見守る職員ら=神戸市中央区相生町4

 通勤通学から物流まで、日々の暮らしを支える鉄道。その線路の安全を守る部署が「保線区」だ。そこには、安全と乗り心地を追求し、ミリ単位の職人技に目を光らせるプロ集団がいる。兵庫県南部の大動脈、JR神戸線の尼崎~塩屋間を主に管轄する神戸保線区(神戸市兵庫区駅南通5)の1日に密着した。(山本 晃)

 ■午前8時半 点呼

 「福知山線列車事故で亡くなられた方に哀悼の意をささげ、黙とう」。勤務を前に毎朝、山本康三区長(57)を中心に、保線区の職員14人が安全を誓う。

 保線区の主な仕事は、線路を点検し、工事の日程を決め修繕すること。検査は12種類あり、中にはひたすら線路を歩く作業もある。

 黙とうに続き、当日の工事内容を確認する。「昨日の人身事故の影響でマルタイ(大型機械)での作業が中止になりました」と報告があった。列車の遅れや人身事故の発生で予定が大幅に崩れることも。緊張感を漂わせ、長い1日が始まった。

 ■日中 検査と会議

 現場歴20年の係長、國末武司さん(39)と同僚の小倉孝さん(28)が快速電車に乗り込む。明石駅から兵庫駅まで、専用の機械で列車の揺れを測定し、線路の状態を調べる。列車の重みでレールは少しずつ沈みこみ、表面が削れる。わずかな誤差でも乗り心地に影響し、放置すれば最悪の場合、脱線につながることもある。小さな変化をつかみ、基準値を超えた箇所は線路のバラスト(砂利)を突き固めるなどして修正する。

 昼食後は来年度の工事に関する会議が開かれた。國末さんら5人が測定結果や映像を見比べ、優先して工事すべき場所を検討した。

 ■午後11時 打ち合わせ

 深夜から未明までは、神戸駅構内にある分岐器の手入れ。工事ができるのは、終電から始発までの約3時間半に限られる。この時間も走行する貨物列車や翌朝の電車のダイヤに合わせ、作業の工程管理は1分刻みだ。終了の遅れは許されない。「時間厳守。決して無理な作業はしないこと」。現場責任者の國末さんの声に力がこもる。

 作業で使う器具には重さが30キロほどある機械も。「腰はやられますよ。こればかりは仕方ないです」と國末さんは苦笑いする。

 ■午前1時21分 作業開始

 最終電車が通りすぎた。作業が始まる。

 「ガシャ、ガシャ」。現場に土の匂いが立ちこめる。シャベルでバラストをかき出し、ジャッキを使って列車の振動でずれた枕木の位置を微調整する。バラストを元に戻し、突き固める。仕上げはレールの上に糸を張り、目線をレールの高さに合わせ、ゆがんだ部分がないかのチェックだ。

 「ゴゴゴゴゴ」。時折ごう音が響く。神戸線は線路が上下2本ずつあるため、作業をしない線路を貨物列車が頻繁に行き交う。JR西日本は終電時刻を早める計画を明らかにした。國末さんは「人員が限られる中、作業に充てられる時間が増えるのは大きい」と受け止める。

 ■午前4時半 夜明け前

 作業を終え、事務所に戻る。気温は5度を下回っていた。國末さんは計画書と検査結果を整理してやっと家路につける。「今日は燃えるゴミの日、捨てに行かないと」と笑う。帰って愛娘(2)を抱きしめたい、とも。「まだ寝とるでしょうけど」と笑みがこぼれた。

 鉄路を守るのは「人の力」-。プロ意識と仲間を思いやる高い組織力に胸を打たれた。

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