神戸

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山形工場から輸送された生地は、時間をかけて乾燥させる=神戸市西区高塚台5(ぼんち提供)
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山形工場から輸送された生地は、時間をかけて乾燥させる=神戸市西区高塚台5(ぼんち提供)
社員として、ファンとして「ぼんち揚」に携わる遠藤洋紀さん(左)と西山なつさん
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社員として、ファンとして「ぼんち揚」に携わる遠藤洋紀さん(左)と西山なつさん
白くて平たい生地(左)を高温で揚げると、ふっくらとした形状になる
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白くて平たい生地(左)を高温で揚げると、ふっくらとした形状になる
工業団地の一角に構えるぼんちの神戸工場
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工業団地の一角に構えるぼんちの神戸工場
高温・短時間で揚げると、生地は丸みを帯び花が咲いたようになる(ぼんち提供)
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高温・短時間で揚げると、生地は丸みを帯び花が咲いたようになる(ぼんち提供)

 関西エリアのお菓子の代表格といえば、「ぼんち揚」。香ばしい味付けとさくっとした食感で、60年近く愛されているおせんべいだ。ぼんち揚の製造の仕上げは、西神工業団地にある神戸工場(神戸市西区高塚台5)が担っている。ところで、ぼんち揚はどうして「関西のお菓子」と呼ばれるのか。工場を訪ね、作り方や商品開発の苦労を聞いた。

 ぼんちの前身となる中央軒は昭和6(1931)年、東京で創業した。当時はもち米を原料とするあられが主力だったが、第2次世界大戦の影響でもち米の仕入れに苦戦。商機を狙って大阪に拠点を移し、関西ではなじみの薄かったうるち米を揚げる「揚げせんべい」を開発した。60年に前身の「揚小丸」が誕生、63年に「ぼんち揚」となった。

 名前の由来は、大阪出身の作家・山崎豊子さんの小説「ぼんち」だ。「放蕩を重ねても根性がすわり、地に足が付いたぼんぼん」を指し、創業者は同製品を「大阪生まれのお菓子」と銘打って販売。菅野洋樹マーケティング部長(42)は「関西人が好む薄い味付けの研究を重ね、広く受け入れられてきた」と語る。

     ◇

 ぼんち揚の製造は2工場で行われる。まず山形工場でうるち米を集荷し、製粉、蒸し上げなどを経て円状に型抜く。これを神戸工場に運び乾燥させて揚げる。

 265度、45秒。平たい生地を高温で揚げることで、表面に網目がつき、厚みを帯びる。社内ではこれを「花が咲く」と表現するという。管理部の遠藤洋紀さん(29)は「揚げる前の乾燥が重要。乾燥していないと割れたり芯が残ったりして、きれいに咲かない」と強調する。しょうゆ、砂糖、かつおだし、昆布だしを配合したほんのり甘い味付けは、発売当初から一度も変えていないという。

     ◇     

 同社の年間売り上げは約108億円。このうちぼんち揚関連の商品が2割を占める。新商品の開発にも力を入れるが、苦労も多い。

 マーケティング部開発担当の西山なつさん(34)は昨年、トマトパウダーを混ぜた「さくベジ」を開発。「健康志向の若い女性に仕事の合間に食べてもらいたい」というアイデアは社内で一目置かれ、商品化されたが、売り上げが伸びなかった。「商品化されても消費者に受け入れられないと成功じゃない。次こそはヒットを」と前を向く。

 同社では毎年約20の新製品を出すが、定番として残るのは「10年で一つ、あるかないか」と菅野さん。「今ある商品を育てながら、新しいものを生み出す二輪の努力をしたい」と語る。

 最後に社員のみなさんが自慢してくれた。

 「1年間に製造したぼんち揚を積み重ねると、直線距離で3800キロ。宇宙にまで届くんですよ!」

 さすが関西フード。例えのスケールも大きかった。(久保田麻依子)

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