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平日の午前中から図書館を利用する多くの人でにぎわう=神戸市中央区楠町7
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平日の午前中から図書館を利用する多くの人でにぎわう=神戸市中央区楠町7
地下書庫で利用者からリクエストを受けた本を探す職員=神戸市中央区楠町7
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地下書庫で利用者からリクエストを受けた本を探す職員=神戸市中央区楠町7
中央図書館に所蔵されている最古の本。有馬温泉がテーマの歴史書が多い=神戸市中央区楠町7
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中央図書館に所蔵されている最古の本。有馬温泉がテーマの歴史書が多い=神戸市中央区楠町7
選書会議では毎週、200~300タイトルの本の購入を決めている=神戸市中央区楠町7
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選書会議では毎週、200~300タイトルの本の購入を決めている=神戸市中央区楠町7

 読書の秋が到来した。お気に入りの1冊を探しに向かった先は図書館。図書館では、本の貸し出しというシンプルなやりとりに隠された、膨大な業務が行われている。神戸市立図書館の中心的な役割を担う中央図書館(同市中央区楠町7)の1日に密着した。(久保田麻依子)

◆午前8時45分

 10月上旬の水曜日。9時15分の開館を前に、約20キロのケースが数箱届いた。中を開けると大量の本だ。

 市内には中央図書館を含む11施設があり、予約本は全館で共有している。人気本の予約件数は、なんと1500人以上。他館から戻ってきたり、引き渡したりする本が、数百冊単位で日々“引っ越し”を繰り返している。阪本和子利用サービス課長(58)は「ネット予約が定着し、予約の利用が増えている。図書館は流通が命なんです」と強調する。戻ってきたと思ったら翌日は別の館へ…ということも珍しくないとか。

◆午前10時

 「本をお探しですか」。1階の児童書コーナーで、入職5年目の三木彩香さん(30)が女性に声を掛けた。「くるみわり人形」の大型本を探しているという。同名の絵本はあったが、女性が指定した出版社のものが見つからない。

 「この本じゃない?」。5分ほどして、阪本さんが三木さんに声を掛けた。めあての絵本だ。三木さんが大急ぎで女性の元へ向かい、本を渡すことができた。三木さんは「私もあちこちの棚を探したんですが…。キャリアの差ですね」と感謝を口にする。

 図書館の本は「日本十進分類法」などを元に細かく分類されており、職員はそれらを暗記している。ただ「昔話」や「出版社別」など独自の分類が付いたコーナーもあるため、「長年の勘も大事」と阪本さん。

◆午前11時7分

 ピーッ、ピーッ。地下書庫で電子音が鳴った。書庫にある本を出してほしい、という依頼だ。本の情報が書かれた紙を一読し、職員が目的地へ向かった。速い。記者が小走りしてやっと追いつくほどだ。

 地下の書棚は電動式。職員がぎっしり詰まった棚から1冊を抜き出し、地上階とつながっている小箱型のエレベーターに収めた。ものの2分ほどで作業が終わった。

 中央図書館にある本は約101万冊で、このうち半数以上の56万冊は非公開の地下書庫にある。そのため依頼に応じて職員が本を探しだし、地上階に届けているという。「週末になると一度に複数の依頼が来るので、一日中慌ただしい」と担当者。実は体力勝負の面もあるのだ。

 ところで、「中央図書館の最古の資料は?」。そう尋ねると、1600年代に発行された地図や歴史書の現物が出てきた。同年代に残る12点のうち6点が有馬温泉にまつわる資料で、温泉街の雰囲気が分かる絵も多数あった。

◆午後2時

 「この本はリクエストが多いので追加購入します」

 毎週1回行われる「選書会議」。この日は8人が集まり、新たに所蔵する本を検討していた。出版社などから発行される新刊約千冊から、書評や内容を吟味して200~300タイトルを選ぶ。加えて、人気本やリクエスト本を買うかどうかの検討も行う。

 特に悩ましいのは、高額本や多くの利用が見込めない専門書を購入すべきかどうかだ。棟安陽子資料係長は「可能な限り要望に応えたいので、議論が長時間になることも多い。近隣の図書館が所蔵している場合は一時的に取り寄せるなど、さまざまな対策を取って本を届けています」と話す。

◆夕方

 1階受付カウンターの奥にある職員席で、市民サービス係の八尾浩之さん(47)が受話器を上げた。延滞が1カ月以上続いている利用者に返却を促すためだ。引っ越しで連絡先が途絶えたり、数年単位で延滞したりするケースもあり「大切な本が戻ってこないことは館として大打撃」とため息。延滞本が絶版になっていると買い直すこともできないため、根気強く電話を鳴らすのだという。

 午後8時の閉館間際。館内にはまた、予約を受け他館に届ける本のケースがうずだかく積み上がっている。本のバトンは明日も続く。

【神戸市立中央図書館】明治44(1911)年11月、現在のJR神戸駅付近に開設、大正10(1921)年に現在の大倉山に移転した。1日平均約2700冊の貸し出しがあり、年間約2万3千冊の本を購入している。

 図書館から離れた地域を巡回する自動車図書館「みどり号」は約3千冊を搭載し、西区や北区を中心に42カ所を回っている。

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