約2万人が神戸の街を駆け抜けた第9回神戸マラソン。沿道には多くの人が詰めかけ、絶えずエールを送り続けた。声援は疲弊したランナーを支え、ゴールへ向かって背中を押した。(長谷部崇、伊田雄馬、千葉翔大、喜田美咲、篠原拓真)
ボランティアスタッフとして、ゴール会場でランナーにスープを渡した兵庫県立社高校1年の櫻井都奈さん(15)
「お疲れ様です」。神戸学院大の学生が炊き出しで作ったオニオンスープを笑顔で手渡していく。「疲れた体を少しでも癒やしてもらえるよう心掛けました」と話す。初めて取り組んだボランティア。「相手も自分も良い気分になる。また何かボランティアに挑戦してみます」
□
櫻井さんとともに、ボランティアスタッフとして参加した県立社高校1年の森崎かれんさん(15)
次々とゴールするランナー約2万人にスープを渡す作業。「忙しかった」と疲れた様子を見せるが、ランナーから「ありがとう」と声を掛けられ「頑張った人たちの役に立てていると実感できた」と達成感をにじませた。
□
3時間56分台でゴールした宗政義仁さん(73)=同県芦屋市
マラソン歴は30年超。65歳で走った第1回大会のタイム3時間11分8秒は、65~69歳の年代別で大会記録にもなっている。今年は4時間を切る好タイムで完走し「汗はかいたが、疲れはどうってことない」と笑顔。「来年も走りますよ」と次回への意気込みを見せた。
□
ゴール地点で感極まり涙をぬぐった綿貫可奈子さん(42)=同県明石市
スタートして最初の1キロ。「あと41キロ」のボードを掲げて、応援する人を見つけた。最難関の神戸大橋を渡りきり、残りわずかとなった最終盤にも同じ人が現れ「あと1キロ」と力強い励ましを受けた。「沿道の声援に感動した」とゴールまでの道のりを振り返って話す。「今までの苦しさが報われた気がしました」
