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コロナショック 県内初感染1カ月(下)小売り・観光

2020.04.02
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新型コロナウイルスの影響で出番を失った観光バス。担当者は「駐車場にないバスは整備に出ている車両だけ」とこぼす=神戸市西区竹の台1、神姫観光バス西神営業所

新型コロナウイルスの影響で出番を失った観光バス。担当者は「駐車場にないバスは整備に出ている車両だけ」とこぼす=神戸市西区竹の台1、神姫観光バス西神営業所

■「外出自粛」で明暗くっきり

 「リーマン・ショック以上の危機だ。こんな数字は見たことがない」

 大丸松坂屋百貨店を傘下に持つJ・フロントリテイリングが1日、3月の売上高速報を発表した。前年同月比で減収を示す「▲」印の並ぶ資料に、担当者はがくぜんとした。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、大丸松坂屋は大丸神戸店(神戸市中央区)を含む全店で3月の週1日を臨時休業にした。営業日も外出の自粛や訪日客の減少で入店客数が減り、売上高が2~6割減った。

 同社など大手百貨店4社が同日発表した3月の既存店売上高(速報値)は、前年同月比でいずれも3割以上減少。日本百貨店協会の担当者は「生活必需品ばかりを扱っているわけでなく、影響を受けやすい」とする。

 小売業界で百貨店とスーパーで明暗が分かれた。食品や日用品を中心に扱うスーパーでは、買いだめをして外出を控える「巣ごもり消費」の増加で、兵庫県内の店にも週末などに買い物客が殺到。例年より売り上げを伸ばす店舗が目立つ。

 「業務スーパー」をフランチャイズ展開する神戸物産(兵庫県稲美町)。加盟店への2月の商品出荷実績は既存店ベースで前年同月比約2割増えた。レトルトカレーやカップ麺など備蓄しやすい商品が売れ筋という。ただ、欧米や東南アジアでも感染は拡大しているため、「パスタやオリーブ油など輸入商品への影響が心配」と担当者。「外出自粛が広がれば、買い物すら行かなくなる人が増えるかも」と危機感を強める。

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 観光業界への影響はさらに深刻だ。神姫バス(姫路市)によると、神戸と四国4県を結ぶ高速バスの3月前半の乗客数は前年同期比で半減。大阪(伊丹)、関西両空港を往復するリムジンバスも約6割減った。1日から姫路・加古川-関空の全便運休も決めた。バスツアーはさらに厳しい。3月の利用客数は約75%減の見込みで、4~5月の予約人数は7割減となった。

 「これからはもっと落ち込むのでは。阪神・淡路大震災以来の深刻さだろう」と、神姫バスツアーズの戸田佳太企画販売課長(37)は話す。例年であれば、花見ツアーなどが盛況な時期だが、参加人数の不足でほとんどの企画が中止に。神姫観光バスでは、政府が打ち出した休業補償の制度を使って運転士やガイドを休ませ、その間の副業を認めた。

 ホテル業界も先行きの見通せない状況が続く。神戸ポートピアホテル(神戸市中央区)では3月下旬の客室稼働率が20%台に低迷。例年3月下旬に客室の8~9割が埋まるゴールデンウイークの予約も、今年は半分に満たない水準だ。

 県観光振興課の担当者は「民間と協力し、誘客をアピールしたい」と強調。終息後を見据えて観光需要の喚起策を検討するという。「リーマン危機のときは、大手企業に影響が出てから中小に及んだ。コロナ禍では訪日客の減少や外出の自粛で、飲食、小売りなどの中小業者から打撃を受けている」と県幹部は指摘する。

 来たるべき反転攻勢に備え、官民挙げた取り組みが重要となりそうだ。(三島大一郎、森 信弘、中村有沙)

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