ひょうご経済プラスTOP 経済 【ベンチャーを追う】低成長時代「幸せ」感じる機会を 金婚式や結婚記念日贈り物に写真展

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【ベンチャーを追う】低成長時代「幸せ」感じる機会を 金婚式や結婚記念日贈り物に写真展

2020.03.27
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贈り物の写真展を企画するハモンの松村佳依代表=神戸市内

贈り物の写真展を企画するハモンの松村佳依代表=神戸市内

 娘から母へ、夫から妻へ、写真展を贈り物に-。神戸市東灘区の起業家、松村佳依(30)は、こんなサービスを展開している。大切に思う相手の写真をアート作品のように展示し、日ごろの感謝を伝える。右肩上がりの経済成長を知らない世代だからこそ、幸せを感じる機会の提案を目指すという。

 「おくりもの屋のハモン(HAMORN)」の屋号で、2018年9月に個人事業として始めた。依頼者が持ち込む写真を使い、思いを聞き取ってメッセージを作り、会場に流す音楽を選ぶ。ギャラリーや思い出のレストランなどを使う。

 受注は、ホームページや口コミで月数件。父母の金婚式を祝う40代の姉妹▽結婚記念日に妻をたたえる30~40代男性▽母親孝行を誓う新成人の女性-ら20組以上が利用した。関西を中心に名古屋や東京でも催す。

 松村は、大手就職情報会社での営業を経て、東京でベンチャー企業を設立した経験を持つ。結婚式を挙げていない人に、家族や知人が式をプレゼントする企画などを事業にした。出産を機に退任し、神戸に戻って写真展をしようと思い立った。

 現代社会はモノと情報があふれる代わりに、幸せの価値基準が曖昧になり、不安や閉塞(へいそく)感と隣り合わせ。松村は「仕事や育児に忙しい日々をふと振り返り、人生の肯定感を強めるきっかけが必要」と話す。

 演出に力を入れ、依頼者にスマートフォンのカメラなどを使って追加の写真撮影を勧めることもある。相手に気付かれないよう、買い物の様子や、疲れて寝落ちする姿などを狙ってもらう。画像データをネットで送受信し、仕上げる。25万円の料金に抵抗感がある人向けには、5万円のアルバム本を作る。九州の20代男性は、子どもの1歳の誕生日に妻に贈った。

 法人からも写真展の依頼が舞い込む。サービス付き高齢者住宅が利用者に贈る▽中小企業の経営者が従業員と創業記念日を祝う-といった案件があった。ハモンの実働人員は現在、動画制作などを担う共同代表の女性(24)と2人。松村は「心の内面に働き掛ける企画を丁寧に増やしたい。年間計100組が幸せそうにしている光景を見られたらいい」と、当面の目標を語った。=敬称略=(内田尚典)