姫路

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紙、粘土、時には食品を使って祭り屋台のミニチュアを作る山本武さん=姫路市
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紙、粘土、時には食品を使って祭り屋台のミニチュアを作る山本武さん=姫路市
頑丈そうに見える屋根は画用紙。紋など共通する部品は作りだめする=姫路市
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頑丈そうに見える屋根は画用紙。紋など共通する部品は作りだめする=姫路市

 身近で安価な素材を使って祭り屋台のミニチュアを作る達人が、兵庫県姫路市内にいる。自宅の玄関から居間まで所狭しと並ぶ神々しい作品。定年退職後の6年間で、「灘のけんか祭り」の旧7カ村をはじめ、ざっと40台近くを手がけてきた。カレンダーに掲載された屋台の写真に虫眼鏡を当てて分析しては、屋根の紋から飾り金具、彫刻、高欄がけまで精巧に再現。口コミで評判が広がり、一部は播磨地域のホテルや金融機関で展示されている。

 9月下旬、姫路市飾磨区の英賀神社。英賀西地区の屋台完成式に沸く境内で人一倍、視線が高い見物客に出会った。漆が輝く屋根のさらに上を凝視し、「前やな」とつぶやいている。

 同地区出身の山本武さん(71)=姫路市。「『露盤』のどこに竜を彫るかですよ。前後一対にするかも迷ってね」と熱弁するが、屋台の職人ではない。10分の1スケール(高さ45センチ、奥行き70センチ)のミニチュア屋台をこしらえているらしい。

 後日、山本さん宅を訪ねた。緑のだて綱(松原八幡神社・木場地区)にえんじのだて綱(同・妻鹿地区)、ひょうたんが集まってできた菊紋(同・東山地区)、ワシの羽の紋(魚吹八幡神社・宮田地区)…。棚や畳の上を占領する多彩なラインアップ。持ってみると意外に軽く、1キロもない。

 「立体だけど、絵を描く感覚に近い」と画用紙の展開図を指さす。黒のフィルムを貼るだけで、光沢のある屋根に早変わり。無数にきらめく小さな金飾りは、コンロを囲うアルミパネル製。くりぬいた後、芯のないボールペンで一つ一つ凹凸をつけ、鳥の羽を描く。

 だて綱は建築用ロープで太鼓は紙コップ。石粉粘土や厚紙など、材料はほぼ百円ショップでそろう。彫刻のヘビ模様にいたっては、一度ゆでたラーメンの麺を乾かして取り付けた。

 山本さんは高校卒業後、住友金属鉱山をへて長兄が代表を務める鉄工所などで、65歳まで住宅や倉庫、クレーンの設計施工を手がけた。ミニチュアづくりは「ボケ防止。頭の体操」で始めたが、青年期は地元で屋台が出なかったため、「大人になっても憧れという感情に近い」と話す。

 今は自宅に25台ほど保管し、近所の姫路信用金庫やJA兵庫西の支店、同県たつの市の新舞子ガーデンホテルでも展示されている。1台作るのに2カ月ほどかかるので、気分転換に船のミニチュアを作り始めた。すると先日、90歳ぐらいになる祭り好きの知人から、曽根天満宮(同県高砂市)の秋祭りカレンダーが届いた。

 「『布団屋台も作れ』という無言のメッセージなんですかね」と頭をかく。(井上太郎)

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