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指紋採取用の粉末やはけ、転写シート。「鑑識セット」を持つ西宮署の溝畑優巡査長=西宮市津田町
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指紋採取用の粉末やはけ、転写シート。「鑑識セット」を持つ西宮署の溝畑優巡査長=西宮市津田町
扇風機から指紋を採取する溝畑さん=西宮市津田町
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扇風機から指紋を採取する溝畑さん=西宮市津田町
住居侵入事件があった部屋で容疑者が残したとみられる空き缶=西宮市内
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住居侵入事件があった部屋で容疑者が残したとみられる空き缶=西宮市内
「男が女性を殴っていた」という通報を受け、手掛かりを探す西宮署員ら=西宮市内
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「男が女性を殴っていた」という通報を受け、手掛かりを探す西宮署員ら=西宮市内

 「ブツに聞け」。事件現場に駆け付け、残された物的証拠をくまなく収集する鑑識班。刑事ドラマでもおなじみだ。犯人を制圧したり、手錠をかけたりすることはない。だが、裁判員裁判や取り調べの可視化が始まり、科学的証拠の重要性は増しているという。いったい、どんな仕事なのか。兵庫県警西宮署刑事1課鑑識2係の1日に同行した。(名倉あかり)

 午前9時/業務開始

 無線の音声が飛び交う西宮署2階、刑事部屋の一角。交代で24時間勤務を繰り返す鑑識の業務も始まった。今年4月、鑑識2係へやってきた溝畑優巡査長(34)は「地味な作業が多いですよ」。苦笑しながら、乗用車内から金品を盗む「車上狙い」の現場写真を整理する。

 鑑識へ進んだきっかけは交番勤務のころ、飲食店で起きた暴行事件。先輩が現場のビールジョッキに残された指紋で逃走した男を特定し、「かっこいい」と憧れた。溝畑さんは「鑑識が集める証拠は、個人を識別するのに有効」と話す。

 午後2時前/容疑者写真

 署に窃盗容疑の男が連れてこられた。容疑者の写真撮影も鑑識の仕事の一つ。男の姿を正面や側面と角度を変えて4枚撮り、両手の指紋と手のひらの掌紋もスキャンした。

 午後6時/証拠品

 作業室に、暴行事件の容疑者が人を殴るのに使ったという白い扇風機が運ばれてきた。一部が壊れている。溝畑さんは汗などを付着させないようにマスク、帽子を着け、はけを使って扇風機に鉄の黒い粉をふる。ライトで照らして指紋が浮き出た箇所に透明の転写シートを貼り、採取した。容疑者だけでなく、扇風機を触った全員の指紋を採取するという。

 午後6時30分/通報

 「侵入盗、入ったわ」。溝畑さんに声が掛かり、マンションへ急ぐ。何者かに侵入された部屋に足を踏み入れる前、はいつくばって玄関をライトで照らす。「玄関前、ゲソ(足跡)なしです」。犯人につながる靴やサンダルの痕跡はないと確認した。

 午後7時/遺留品

 現場では「自分が犯人だったら」と想像するという溝畑さん。部屋にどう入るか、どこを触るか、どう逃げるか-。周囲を見渡し、窓やベランダも調べた。

 幸い金品は盗まれておらず、室内には被害者が覚えのないペットボトルやジュースの空き缶が散乱していた。手に取り、慎重に粉をふる。空き缶にはかんだ形跡のあるストローも刺さっていた。指紋とともに、綿棒に蒸留水を付け、ストローから唾液も採取した。これも容疑者を特定するDNA型鑑定の証拠だ。

 午後8時/夜の路上

 「男が女性を殴っていた」。110番が入った。署員が駆け付けるも、現場に当事者らしき人の姿はない。溝畑さんは血痕やたばこなどの手掛かりを探すため、夜道をライトで照らす。約1時間半、目撃証言があった周辺を黙々と歩いた。

 午前2時/仮眠

 採取した現場資料を整理する。「ちょっと休みます」。溝畑さんはさすがに疲れた表情だった。

 午前8時半/引き継ぎ

 いつでも出動できるよう刑事部屋のベンチで数時間仮眠をとり、起床後は取り扱った事案の報告書を作成。この日の当直業務に入る3係の2人に引き継ぎし、24時間の勤務を終えた。

 「『こんな所、犯人は触ってへんやろな』というところでも手を抜いたらだめなんです」。鑑識作業中の溝畑さんの一言。遺留品を隅々まで観察する仕事の奥深さが胸に残った。

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