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西宮市の理学療法士、生野達也さん=西宮市池田町
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西宮市の理学療法士、生野達也さん=西宮市池田町

■兵庫県西宮市の理学療法士、生野達也さん

 画面の向こうには、脳出血で手足にまひが残る患者。筋肉トレーニングやマッサージではなく、テレビ電話を使い、歩行リハビリの“コツ”を助言する。

 そのノウハウを生かし、年内には高齢者の介護予防支援も始める。タブレット端末を配り、遠隔で運動指導や面談を行うかつてない取り組みだが、「全国のお年寄りを笑顔にできる」と意気込む。

 札幌市の出身。高校時代、野球部員だった同級生の肘のけがを理学療法士がリハビリで治したと聞き、興味を持った。理学療法と一口にいっても、骨折などの整形外科疾患、肺炎などの呼吸器疾患、心筋梗塞に代表される心疾患など、分野は幅広い。阪神タイガースファンだったこともあり、「仕事で関われるかも」と整形外科を選び、スポーツトレーナーを思い描いた時期もあったが、大学の研修で関わった患者をきっかけに、中枢神経疾患を対象とする理学療法士に。「困っている人のためになりたい」。症状が改善されにくいという脳卒中など脳の病気から生じるまひを専門と決めた。

 卒業後は高知や大阪の病院に勤務。多くの患者に接する中で、発症から一定期間を過ぎると、病院でのリハビリを終了せざるを得ない介護保険制度の限界を目の当たりにした。他方、海外留学や大学院で知識を深め、まひした箇所への体重のかけ方を意識するだけで、症状が和らぐとも知った。新しい形のリハビリを取り入れ、公的保険の対象外となる患者を支えようと、2013年に独立した。

 現在は兵庫県西宮市内で二つのリハビリ施設を運営する。遠方の患者でも、インターネットの動画配信やテレビ電話で個別に指導する。中でも大事にするのは、患者同士の交流だ。「まひの苦労は家族にも理解されづらく、ふさぎ込む人も多い。当事者がつながり、自信が付けば、笑顔が増えるはず」。西宮市在住、40歳。(初鹿野俊)

【メモ】生野さんが代表の「動きのコツ研究所リハビリセンター」(西宮市池田町)は、脳卒中などの患者や家族が集う会「未来へつなぐ会」を毎月開催する。同センターの利用者でなくても参加できる。無料。TEL0798・32・8502

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