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ノルウェーのサルトストラウメン海峡の渦潮(兵庫・徳島「鳴門の渦潮」世界遺産登録推進協議会提供)
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ノルウェーのサルトストラウメン海峡の渦潮(兵庫・徳島「鳴門の渦潮」世界遺産登録推進協議会提供)
観光客が多く訪れる鳴門の渦潮
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観光客が多く訪れる鳴門の渦潮

 兵庫県と徳島県が官民挙げて世界自然遺産への登録を目指す鳴門の渦潮。潮の干満や複雑な海底の地形によって生まれる「世界最大級」の渦を見ようと、多くの観光客が訪れる人気スポットだが、実は世界各地には似たような現象が見られる海域が数多くある。これまで両県は、鳴門単独での登録を視野に活動を進めてきたが、2020年度からは「世界最速級」の潮流を誇るノルウェーの渦潮と共同研究に乗り出し、各地の渦潮ともタッグを組む共同申請へと重点を移す。(赤松沙和)

 昨年8月、兵庫県などの調査団は北極圏内の2カ所で渦が発生するノルウェーを訪れた。ボーダ市のサルトストラウメン海峡は、フィヨルドの入り組んだ地形が生み出す世界最速とされる潮流が特徴だ。海峡幅は130メートルと鳴門の10分の1ながら、押し出されるように渦が次々と生まれ、ごう音を立てて潮が走る光景は圧巻だったという。

 鳴門海峡で観潮船を運航するジョイポート南淡路の鎌田勝義社長(53)は「激流から生まれる渦はスリル満点」と振り返り、「圧倒的な水量とエネルギー量を誇る鳴門とは違う魅力がある」と、最速と最大の渦潮が手を組む相乗効果に期待を寄せる。

 登録に向けた運動は、1998年、徳島県鳴門市の民間事業者が声を上げたのが始まり。同じころ、南あわじ市では海峡を渡る連絡船が廃止に。渦潮の観光を絶やしたくないと地元有志が資金を出し合って同社を立ち上げた。3代目の鎌田社長はその意志を受け継ぐ。「渦潮を誇りに思う地元の人たちの願いをつないでいかないと」

 2014年に両県や関係市による「兵庫・徳島『鳴門の渦潮』世界遺産登録推進協議会」が発足し、運動は加速。17年からは、選考で問われる「保護、保全すべき人類共通の財産」としての価値を証明しようと、学術調査を進めてきた。これまでに、地形との関係や渦の直径が最大で約20メートルに及ぶなどの詳しいデータを収集した。

 ただ、調査が進むにつれ、渦潮は他国でも確認されている上、人工物の大鳴門橋が架かる現状など、単独で登録要件を満たすにはハードルが高い現実も突き付けられることに。そこで、他国を巻き込んだ「渦潮群」として登録を目指す道が浮上した。

 共同研究は一からのスタートで、相当な時間がかかるとみられるが、鎌田社長は「地球のパワーを感じられる渦潮という共通の現象を大事にしたい」とし、「観光振興にも期待が高まるが、活動の原点は鳴門の風景と環境を後世に残していくこと」と力を込める。

 登録への機運を高めようと、渦潮が最も見頃を迎える春の大潮の時期に続けている島民の無料招待には、4年間で2万人が乗船した。「地元の地道な活動も大切。時間はかかっても、力を合わせて渦潮の価値を証明したい」

 世界遺産計1121件のうち、日本には文化遺産19件、自然遺産が4件ある。日本の暫定リストに掲載されている候補は、文化遺産が彦根城(滋賀県)や古都鎌倉の寺院・神社(神奈川県)など6件、自然遺産が奄美・琉球(鹿児島、沖縄県)の1件。文化庁などによると、登録数が千件を超え、昨年から推薦は一つの国につき年1件という上限ができるなど、新規登録の道のりは厳しさを増しているという。

 13年に文化遺産に登録された富士山(山梨、静岡県)は、自然遺産での登録を目指していたが、ごみやし尿処理などの環境面や、自然遺産としての価値の証明が難しく選考対象外に。文化遺産に切り替え「信仰の対象と芸術の源泉」と認められるまで20年を要した。

 渦潮の遺産登録には、最上級の自然現象▽自然本来の姿が保たれている▽保護のための十分な取り組み-などの条件を満たすことが必須となる。

 日本が他国と共同申請した例は、フランスの建築家ル・コルビュジエ氏設計の国立西洋美術館(東京都)のみ。07年にリスト入りし、7カ国にまたがる17作品の一つとして16年に登録された。

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