淡路

  • 印刷
シイタケの収穫に取り組む利用者=森の木ファーム
拡大
シイタケの収穫に取り組む利用者=森の木ファーム

 障害のある人が雇用契約を結び、最低賃金以上を得て働く「就労継続支援A型」事業所が、年度内にも淡路島内(兵庫県)からなくなる恐れがあることが分かった。現在、島内にA型は2事業所あるが、事業としているシイタケの取引価格低下や弁当販売の伸び悩みから、利用者に賃金を支払うのが困難な状況だ。都市部に比べて企業の規模が小さく、障害者雇用の枠も少ない中、障害者の思いや能力に応じた働く場をどう確保していくのか、課題がのしかかる。(高田康夫)

 障害者がシイタケの栽培、採取、出荷などの作業を担い、年間約170トンを生産してきた「森の木ファーム」(南あわじ市賀集八幡)では7月、年内でA型事業所を閉鎖する決断を利用者に伝えた。

 地域の障害者が働ける場をつくろうと、2012年に島内で初めてA型に指定された。利用者と雇用契約を結び、基準に従って雇用保険や社会保険にも加入。最多で35人が働いていた。

 ただ、事業を始めた当初に比べて最低賃金は約2割上昇。燃料などのコストも増加する一方、中国から菌床の輸入が増え、ここ数年で価格が暴落し、事業収入から賃金を払い続けることが難しくなった。

 利用者の中には一般企業に就職できた人もいるが、中村一弘社長(60)は「一般就労が難しい人もいる。事業自体をなくすよりも働ける場所を維持したい」と、最低賃金よりも安い“工賃”を障害者に支払う「就労継続支援B型」に移行させる考え。「一般企業も意識改革し、配慮をすれば障害者は働きやすくなる」と、同社は一般就労した障害者をサポートする「就労定着支援」の事業も始めた。

     ◆

 淡路市社会福祉協議会が運営する「いづかしの杜」(淡路市仁井)もA型事業所だ。14年に指定され、弁当の製造販売を中心に取り組んできた。「障害のある人の本当の姿を見てもらいたい。高齢者や山間部の住民の生活を支えることで、相互理解を生む」。そんなコンセプトで始めた事業だ。

 事業開始から1~2年後に登録者を雇用する見通しだったが、業績は思うように伸びず、5年たっても登録者6人に最低賃金を支払えていない。同市社協の凪保憲事務局長(49)は「もうけることが必要なA型を、“福祉屋”がすることに無理があった」とする。

 県洲本健康福祉事務所は昨年、最低賃金を支払えていない状況について行政指導し、改善計画の提出を求めた。ただ、現在の事業で最低賃金以上を支払える見通しは立たない。凪事務局長は「A型でだめと言うならB型にするしかない」とし、年度内にも決断する意向。「本来、障害のある人が自信と誇りを持って働けることが尊いはずなのに、形だけになっていないか」と疑問を投げ掛ける。

 都市部では企業が「特例子会社」をつくり、そこで障害者を雇う事例も増えており、凪事務局長は「本来地域に一つはA型事業所があってほしいが、特例子会社がA型に取って代わるかもしれない。企業の中に障害を理解し支援できるスタッフを配置する仕組みづくりを」と求める。

 【就労継続支援A型事業所】2006年の障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)の施行で、従来の福祉工場に代わって導入された。障害者と雇用契約を結び、原則として最低賃金以上を支払う。島内ではA型が減る一方、雇用契約を結ばないB型は16事業所あり、増加傾向だ。

淡路の最新
もっと見る

天気(10月21日)

  • 24℃
  • 18℃
  • 30%

  • 22℃
  • 12℃
  • 20%

  • 25℃
  • 16℃
  • 50%

  • 24℃
  • 15℃
  • 40%

お知らせ