淡路

  • 印刷
明石海峡大橋を背に、岩屋海水浴場付近を走る恩田茂夫さんと春音さん=淡路市岩屋
拡大
明石海峡大橋を背に、岩屋海水浴場付近を走る恩田茂夫さんと春音さん=淡路市岩屋
11年前、初めての自転車旅行で能登半島を一周した恩田さん父娘(恩田さん提供)
拡大
11年前、初めての自転車旅行で能登半島を一周した恩田さん父娘(恩田さん提供)

 毎年夏休みに全国各地を自転車で旅している父娘がこのほど、淡路島(兵庫県)を訪れた。娘が小学生の時、不登校をきっかけに始めて12年。総延長は約5820キロに及び、娘は大学生に成長した。「旅で出会う人たちの優しさに支えられ、続けることができた」と2人。就職を控え「今回が最後になるかもしれないが、不登校の子どもや親たちに元気を与えられたら」とペダルをこぎ続ける。(内田世紀)

 東京都に住む介護職員恩田茂夫さん(54)と長女の私立大学3年春音さん(20)。春音さんは小学校に上がった頃から、男子児童から心ない言葉や暴力を受けるようになった。気が弱かった春音さんは休みがちになり、3年生で不登校に。茂夫さんは学校に相談したが、娘を非難する教諭の態度に「先生はひきょう。もう行かなくていい」と家庭で学校教育を行うことにした。

 茂夫さんは仕事を大幅にカット。座学は問題集を活用し、体育は公園で走るなど1日6時間以上の授業で全教科を学ばせた。初の自転車旅行は小4の夏休み。茂夫さんが「達成感を味わってほしい」と能登半島一周の旅を計画した。

 炎天下の道のりは約360キロ。想定外の高低差や悪路に「子どもには無理だったか」と後悔したが、春音さんは歯を食いしばり必死に父の後を追った。道中、多くの住人が小さな自転車をこぐ春音さんを励まし、親切にもてなした。7泊8日を走り抜いた頃、弱気だった娘は「自信にあふれ、きらきらと輝いていた」

 2人は夏が来る度に「今年も行こうか」と続けるようになった。北海道から四国、九州まで全国をくまなく巡り、昨年までの走行距離は約5500キロ。「2人で行ったことがないのは奈良と沖縄だけ」となった。その間、春音さんは不登校のまま小学校を卒業し、中高一貫校に合格。友達と学校生活を楽しむようになり、進んだ大学では子どもの発達などを研究する心理学を学ぶ。

 就職活動が始まる中、2人は今年も旅を決断。奈良を起点に大阪、神戸、淡路島を巡る約320キロのコースを選んだ。島には今月6日夕に到着。東海岸を夜まで走り、津名地域で宿泊した。翌日は洲本城に登り福良へ。「海や田園風景に魅せられた」と、慶野松原やおのころ島神社、伊弉諾神宮などを巡り、西海岸を岩屋まで北上した。

 「娘は不登校にはなったが、強い子だと信じていた。それを引き出せたと思う」と12年を振り返る茂夫さん。「不登校を卒業研究のテーマの一つに考えている」と語る春音さんは「学校に行くことが人生の目的ではない。行かないことを悪く考えたりふさぎこんだりせず、良識のある大人になることを目的に生きていってほしい」と呼び掛ける。

淡路の最新
もっと見る

天気(9月20日)

  • 27℃
  • ---℃
  • 20%

  • 26℃
  • ---℃
  • 10%

  • 28℃
  • ---℃
  • 40%

  • 28℃
  • ---℃
  • 30%

お知らせ