淡路

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雄のサワラから精子を取り出す県職員ら=播磨灘
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雄のサワラから精子を取り出す県職員ら=播磨灘
受精卵をつくる作業を行う船に、サワラを受け渡す漁師=播磨灘
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受精卵をつくる作業を行う船に、サワラを受け渡す漁師=播磨灘

 兵庫県の淡路島では春から初夏にかけてサワラが旬だ。4月末に播磨灘で流し網漁が解禁され、島内31店舗が「淡路島の生サワラ丼」などとしてPR。10連休中も多くの観光客の舌をうならせた。「島の食ブランド」として地位を固めつつあるサワラだが、かつては乱獲や環境の変化で漁獲量がピーク時の0・6%まで激減したことがある。息を吹き返したのは、資源回復に取り組む地元漁協などの努力があったからこそ。その現場に密着した。(吉田みなみ)

 5月10日午後6時20分、洲本市五色町の鳥飼港から漁船が出航した。デッキには五色町漁業協同組合や技術指導する県職員ら。11キロ沖合の播磨灘で停止し、漁船5隻から水揚げの一報をひたすら待つ。

 同漁協が取り組むのはサワラの受精卵放流。取れたてのサワラから精子や卵子だけを取り出し、船上で授精させて海に帰す方法だ。

 同漁協のサワラの水揚げ量は、1985年に435トンとピークを迎えたが、99年には4トンまで落ち込んだ。資源回復のため、同組合は2000年から受精卵放流を始め、漁獲量は徐々に回復。暖冬など気候に左右されつつも、17年は40トン、18年は96トンと増加傾向となっている。

 すっかり日も暮れた頃、「今から網を上げるで」と無線が入った。すぐに連絡があった漁船に横付けし、巻き上げられる網を見つめていると、銀色に光る魚が見え、喜びの声が上がった。「サワラや!」

 サワラは死後硬直後に取った卵では受精しないので、すぐに授精させなければならない。サワラを受け取った県職員が腹部を押して精子を搾り出し、雌が上がるのを待つ。

 だが、喜んだのもつかの間、肝心の雌が届かない。出港から2時間。船に運ばれてくる魚は雄が多く、雌でも既に産卵を終えた個体ばかり。最初に保存していた精子も「時間がたちすぎてもう使えないですね」と県職員が海へ流した。約3時間粘ったが、受精卵を放流できないまま帰港した。

 今年は暖冬でサワラの回遊時期が早く、群れの多くは淡路島を通り過ぎてしまっているようだ。「雌もほぼ産卵を終えている」と福島富秋同組合長(57)。受精卵を放流できなかったのは初めてといい「来年は漁解禁や受精卵放流時期の前倒しも考えないと」と顔をしかめた。

 同行した洲本農林水産振興事務所の高木敏行さん(24)は「自然が相手の取り組みは難しい。食のブランドを守るためにも工夫を重ねたい」と表情を引き締めた。

 同漁協の今季初日のサワラの水揚げは1150本と例年よりやや多かった。回遊魚のため巡り合わせもあるが、これまでの資源回復の取り組みは着実に実を結んでいる。

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