明石

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神戸新聞明石総局
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神戸新聞明石総局

 人に顔があるように、建物にも顔がある。

 神戸新聞明石総局(兵庫県明石市)の場合、それは外壁に取り付けられた古めかしく巨大な看板だった。30年近い歴史があるらしい。白地に黒で刻印された社名。それなりの風格を漂わせていて、好きだった。

 それが防災上の理由で撤去された。縦4メートル、重さ450キロの看板が手際よく外されていく。

 心にすきま風が吹いた。

 町を歩きながら店舗やビルの看板を見上げた。大きさも色も字体もさまざまだが、それが設置されたときの晴れがましい気持ちを想像した。真新しい看板とともに、きっと誰かの人生も始まったはずだ。成功と挫折は、看板の数だけあるのかもしれない。

 -などと感傷に浸っていたら、工事の人が教えてくれた。

 「危機一髪やったわ」

 まだつやつやと輝いていたステンレスの化粧カバーをはがすと、建物と看板をつなぐ鉄の支柱の何本かは真っ黒にさびて腐食し、やせ細っていた。

 あと何度、台風に耐えられただろう。大きな地震ならひとたまりもなかったろう。感傷が安全の役に立つことはない。油断が事故を招く。

 一時代前の「突き出し看板」を使っている会社の方は、一度ご確認を。(木村信行)

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