正平調

時計2019/06/22

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インドネシアのバリ島を訪ねたときのことを、写真家の藤原新也さんがある対談で語っていた。夜の田んぼに響いたカエルの大合唱はまるでバリの伝統音楽「ケチャ」のようだった、と◆音頭取りの1匹がいて「これがグッ、グッ、グッとやると、残りの烏合(うごう)の衆がチュッ、チュッ、チュッとやる。まさにケチャなんですよ」。どちらがどちらをまねたのか、ケチャとカエルはよく似ているらしい◆ものは聞きようだと想像力をたくましくすれば、あの「ゲッゲッゲッ」はロック音楽の熱いビートを思わせないか。いや、お坊さんたちが唱える厳粛なお経のようでもある。重くて低いのはコントラバスかしら◆暦ははや夏至を迎えた。カエルたちも元気いっぱい、のど自慢に精を出している。日の落ちた水田で声をそろえて鳴き始めたかと思えば、突然ぴたりとやむ。はじめはうるさく感じても、慣れたら耳に心地よい◆「花に鳴くうぐいす、水にすむかわずの声を聞けば、生きとし生けるもの、いづれか歌をよまざりける」。鳥もカエルも生あるものはみな歌を詠むと、古今和歌集の冒頭にある。今夜のカエルは何を歌うだろう◆近畿の梅雨入りは例年よりずいぶん遅れている。ゲロッゲロッ。カエルの気持ちになって空を仰いでみる。2019・6・22

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