正平調

時計2019/06/18

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戦闘機「紫電改」の実物大の模型を加西市の鶉野(うずらの)飛行場跡で見た。ずんぐりとした深緑色の機体はいま舞い降りたかのような存在感を放つ◆戦時中、鶉野には海軍航空隊があり特攻隊も編成された。紫電改を開発した川西航空機の組立工場もあった。新鋭機はこの飛行場から離陸した◆城山三郎さんの戦争文学の傑作「零(ゼロ)からの栄光」によると当時の戦闘機開発は三菱、中島、川崎が主流だった。川西は「兵庫の片田舎で物好きに」とやゆされたが、高速で機動性に富んだ名機を生んだ◆飛行機が好きで少年兵で海軍に志願入隊した城山さんは敗戦後の技術者たちの苦闘に思いを重ねる。〈苦労しながら温存してきた社内の技術。これにもう一度花を咲かせてみたい〉。後の新明和工業で海難救助や離島輸送に役立つ救難飛行艇の開発に成功する◆この紫電改をシンボルに、加西市は平和のミュージアムを整備する計画を練る。滑走路、防空壕(ごう)、機銃座。周辺の戦争遺産を現代に生かす試みだ◆市のガイドブックのメッセージが胸に響く。「残された歴史から未来へ伝えることが今を生きる私たちの大切な役割」。許可を得て紫電改の操縦席に座った。零から平和を誓って再出発した戦後74年の歩み。狭い空間に身を沈めて、目をつむる。2019・6・18

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