正平調

時計2019/02/24

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その若者はいつも午後8時40分に自転車で来た。場所は神戸市内にある夜間中学校の校門だ。そこで待つ先生へ、若者はプリントを渡す。すると先生は、別のプリントを彼に手渡す◆「授業は校門で」という17年前の本紙記事である。ベトナムから来た彼は、日本語をもっと学びたい。でも仕事のため授業に間に合わない。事情を知り、なんとか熱意に応えようと先生たちは、校門授業を考えた◆授業で使ったプリントを渡し、自宅で勉強してもらう。返ってきたのを赤ペンで添削し、新しいものをまた彼へ。8時40分は、夜間中学が終わって放課後になる時間。そこからささやかな授業が始まっていた◆ここに登場する先生は草(くさ)京子さんという。65歳で亡くなったと、先日の紙面にあった。見出しは「『夜間中学の母』熱き生涯」。戦争や貧困などで教育を受けられなかった人たちと歩いた。その日々に頭が下がる◆6年前、神戸新聞文芸の詩部門で読んだ「ひまわり」。勉強が分からなくなると、花が励ましてくれる。〈だいじょうぶ だいじょうぶ/わからへんことが だいじなんやでって〉。だから〈わからへんなったら/ひまわりのところに いった〉。作者は「しみずゆま」さん、当時小学2年生◆草さんもまた、ひまわり。2019・2・24

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