日々小論

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 人影が絶えた市街地に、警官や兵士の姿ばかりが目立つ。新型コロナウイルス禍で封鎖された海外の都市の光景は戒厳令下を連想させる。実際、「戦争状態」を口にする首脳もいる。

 日本でもコロナ対策特措法が成立し、首相は緊急事態宣言を出せるようになった。対象区域の都道府県知事は感染拡大を抑え込むため、商業施設などの営業停止が指示できる。

 しかし他国のように、社会活動を強制的に抑え込めるまでの権限はない。その点を意識して、内閣に一時的に権限を集中させる緊急事態条項を軸とした改憲論を耳にする。知事の「要請」を尻目に大規模イベントが開かれた実例を見れば、賛同者が増えてもおかしくない。

 感染者の行動経路や濃厚接触者の割り出しは、スマホの位置測定機能や防犯カメラの映像などを使えば技術的には容易にできる。すでに実行済みの国もあるのではないか。

 もはや一人一人の主体的な行動だけでは効果がない。感染拡大を抑え込むためには、人権や民主主義など二の次-。そんな考え方が、ウイルスとともに世界に広まるのを危惧する。

 その考えに国民も同調すれば、今回の感染拡大が終息しても「未知の感染病対策」を名目に、強権国家への流れが世界で広まりかねない。

 医療体制の整備など、政府には成すべき重要な責務がある。一方で国民が冷静にならねば、公権力はここぞとばかりに首をもたげてくるだろう。ウイルスとの戦いに、民主主義を守るとの緊張感も持ちたい。

 この戦いに銃剣はいらない。手を洗う。密閉空間を避ける。栄養や睡眠を十分に取る。武器となり盾となるのは、誰でもできることばかりだ。

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