日々小論

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 規則を律義に守るのがドイツの国民性とされる。だが首都ベルリンには、自由気ままな行動を好む気風があるそうだ。

 「そのベルリンっ子が外出を自粛し、街が静まりかえっている。市内を見回る警察が驚嘆しています」。現地に住む作家の六草(ろくそう)いちかさんに新型コロナウイルスの影響を尋ねたら、そんな様子を伝えてくれた。

 日本では東京都知事らが外出や往来の自粛を要請したが、都市部は依然、多くの人でにぎわう。この温度差が気になる。

 2月中旬のドイツの感染者は10人余、死者は0だった。それが感染者は4万人を超え、死者は約300人に激増した。

 ドイツではいま週50万件もPCR検査をしている。死亡率は1%以下で日本の4%(26日正午)より低い。重症者数も日本より少なく、対策が一定の効果を上げているように映る。

 だが死者は日本の5倍に達し、近隣イタリアの医療崩壊で国民の不安は高まるばかり。

 「そうした中で人々の意識と行動を変えた決定打が、メルケル首相が先週行ったテレビ演説でした」と六草さんは話す。

 「『事態は深刻です』という率直な表明と『一人一人が愛する人を守って』という行動自粛の呼び掛けが胸に染みたよう。言葉で聞かないと納得しないドイツ人が、他人との距離を1・5メートル取るなど接触制限を守る。自覚が大切だという首相の言葉を受け入れたのでしょう」

 寛容な難民政策が批判されたメルケル氏だが、「本当は彼女が正しい」と多くの人が思っていた、だからこそ呼び掛けが響いたと、六草さんは読み解く。

 危機的な状況では指導者の言葉の重みも試される。日頃政治の言葉がどれほど信頼されているかの証しでもあるだろう。

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