日々小論

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 恥ずかしながら、井本直歩子(なおこ)さんの近況をまったく知らなかった。東京五輪の聖火をギリシャで受け取った、あの女性である。

 日本側が新型コロナウイルス禍で出席できないので、ギリシャで難民支援にあたる井本さんがトーチを手にした。アトランタ五輪に出た元競泳選手がなぜギリシャに、それもなぜ難民支援で。伝える記事を読み、いくつもの「?」が浮かんだ。

 ちょうど、週刊誌「AERA(アエラ)」3月23日号の「現代の肖像」が井本さんを取り上げていた。それを読んでやっとのみ込めた。以下は抜粋。

 自分たちと違い、みすぼらしいユニホームで国際大会に出場する選手がいるのを、中学2年生で知った。食事が無料の選手村で、甘いものをいっぱい食べる選手に気づいたのは高校3年生のとき。自国では食べられないからだった。

 華やかな国際舞台の陰で、少女は貧富の差を見てしまう。その体験が人道支援の道へ…ということだろう。

 慶応大から英国の大学院へ。JICA(国際協力機構)のインターンとして貧しい国を回り、2007年に国連職員となった。今はユニセフ(国連児童基金)の教育専門官として、中東などの難民の子と向き合う。

 こんな言葉が胸に響く。

 「やっと自分の居場所にたどり着いた」

 インターンとして初めて赴任したガーナでの実感という。

 五輪選手に当たるまぶしいスポットライトも、いつかは消える。そのとき、自分をどう見つめるか。生きていく手応えを何で感じるか。もう一人の自分とどこで出会うか。

 1976年生まれが織りなす物語。何と刺激的だろう。

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