日々小論

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 そのデザインの美しさや充実したサービスで、神戸の路面電車は東洋一と称された。廃線から約半世紀となるが、国際港都としての繁栄とともに多くの市民の記憶に刻まれている。

 一時は各地で廃止が相次いだ路面電車が、今度は人口減少社会にマッチした輸送手段として再び脚光を浴びている。

 低床式で乗り降りしやすく、定時性や快適性を備えた次世代型路面電車「LRT」(ライト・レール・トランジット)の2022年開業を目指す宇都宮市を訪ねた。JR宇都宮駅東側の14・6キロが事業化され、同駅西側への延長も構想にある。

 全線を新設するのは全国初の試みで、車道を削ったり、立ち退きを迫られた民家や事業所があったりと痛みも伴った。

 同市には日本最大級の工業団地があり、朝夕の渋滞緩和が大きな課題だった。路面電車の是非は選挙の度に争点となってきたが、人口減少が現実となり、コンパクトシティー化を進める上で必要な都市機能として理解を得ていったという。

 停留所には駐車場や駐輪場が設置される。路線バスなどともつなぎ、子供からお年寄りまでスムーズに移動できるような心遣いが随所にある。

 宇都宮は雷が多いことで知られ、「雷都」を自称する。このため車体のシンボルカラーは黄色。流線形のデザインは近未来を感じさせる。

 JR線をLRTに転換して存続させた富山市では街のシンボル的存在となり、利用者が一気に増えて市民の生活スタイルまで変化があったという。

 車社会では邪魔者扱いされた路面電車が街の景色をどう変え、暮らしにどんなインパクトを与えるのか。壮大な都市の実験成果が楽しみだ。

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