日々小論

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 人間が言葉をつくるのか。言葉が人間をつくるのか。その議論が言語学の入り口とされる。

 なるほど、人は他人の言葉に影響されやすい。自分が口にした言葉は、受け売りでも「正しい」と胸を張りたくなる。

 言葉に踊らされるのが人間の悲しいさがなのかと思う。

 「お湯を飲んだら新型肺炎が予防できる」「新型コロナウイルスは熱に弱く、26~27度の温度で死んでしまう」

 そんな情報が、会員制交流サイト(SNS)などで拡散している。主に友人同士のグループなどで伝達されているようだ。1人が複数に転送すれば、ねずみ算式に広がりを見せる。

 話を聞いた時は「そんなばかな」と思った。調べてみたら、多くの人が同じように感じている。なのに人から人へのチェーンメールが止まらない。

 多くの場合、親しい人が「大事な情報です」と転送してくる。「フェイク(偽)情報では」と指摘しにくい空気があるのも分かる。否定すれば角が立つ。なので大半の人は肯定も否定もせずに静観している。

 ただメールには「○○病院の看護師から聞いた」「米国の専門家の情報」などもっともらしい“根拠”が示されている。当の病院が否定するなど、どれも不確かな伝聞情報だが、感染拡大に不安を募らせる心の隙間にこの種の情報は忍び寄り、ネットを介して増殖する。

 ちなみに「人間の体温より低い温度で殺菌できるなんて、常識的に考えてあり得ない」という専門家の言葉が、友好紙の西日本新聞に掲載されている。

 欧州では「悪疫は数千人を殺すが、恐怖感は数万人を殺す」と言うそうだ。いたずらに人間を惑わせるデマ情報の感染にもこの時期、敏感でありたい。

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