日々小論

  • 印刷

 新型コロナウイルスが世界に拡散する中、偏見に基づく人種差別も広がっている。心を踏みにじる行為を絶対に許せない。

 中国、韓国、日本といった感染者が集中するアジアの人々への嫌がらせが増えているようだ。パリ郊外で、日本食レストランが「コロナ出ていけ」と落書きされたのが記憶に新しい。国内でも香川県の小学校に中国人を差別するはがきが届くなどの事案が起きている。

 中世欧州でペストが流行し、ユダヤ人が迫害された歴史を思い起こす。新型ウイルスに世界がきしみ始めているようでぞっとする。

 国際的な人的交流も減っている。日本を含む感染者確認国からの入国を制限している国は両手で足りない。中国本土への渡航警戒レベルを最高に引き上げている米国に反発し、中国は観光での渡米を控えるよう国民に呼び掛けた。冷静な対応を求めたい。

 世界では近年、人種や宗教、貧困などによる分断が深まっている。これ以上の断絶は避けねばならない。

 「山川異域 風月同天」。日本から中国に送った支援物資に添えられていて話題になった漢詩の一節だ。意味は「別の場所に暮らしていても、自然の風物はつながっている」。中国側で感動を呼び、マスクのお返しなどの動きもあるという。

 感染者はイタリアやイランでも急増している。日本では生活に影響が及んでいる。「パンデミック(世界的大流行)」を口にする外国の専門家も現れ始めた。世界に今必要なのは漢詩に流れる「絆」の心ではないか。

 各国がしっかり手を携えないと、未知のウイルスに立ち向かえない。このことがはっきりし始めている。